良い人間関係は会話から始まる
いきなりですが、皆さんは街で鳥が飛んでいるのを見た時、何を思うでしょうか?
大抵の人は特に何も思わないと思います。何故、私が急に鳥の話をしたのか説明しながらこの教室で学んだ成果をお話します。
私は看護師をしています。先日、90代の男性を担当することになりました。その方はとっても無口です。
「木村さん、もうすぐオリンピックですね!」
「そうだね」
「木村さん、またコロナが流行ってきましたね」
「そうだね」
正直、年齢や認知機能の低下によるものだろう、と私は会話を諦めていました。
私は元々人前でのあがりを克服するためにこの教室に入りました。ですが、日常会話が良い人間関係を築くきっかけになるということも学べました。良い会話の条件は『相手の興味のあることを話す』ということです。この話を聞いて木村さんと会話することにもう一度チャレンジしてみよう、と思いました。そして、小学生以来、久しぶりに戦争について勉強しなおしました。
「木村さん、8月は終戦記念日ですね。当時の日本はどんな様子だったんですか?」
「そうだね。実は僕は日本にはいなくて、今でいう植民地のようなところにいたんだよ」
「えっ、そうなんですか! じゃあ、満州とかにいたんですか?」
「おお、よく知ってるね。その頃は空に鳥が飛んでいるのを見ると、日本にも自由に飛んでいける鳥が羨ましいと思ったよ」
木村さんはそれ以降、自分から色々なことを話してくれるようになりました。そして、今では木村さんに関することは他のスタッフも私を頼ってくれるようになっています。
この教室で学んだことは仕事でも私生活でも活きていると実感しています。私は今後、鳥が飛んでいるのを見たらきっと木村さんを思い出すと思います。そして、同時にこの教室で学んだ多くのことを思い出すでしょう。