2025年7月18日物足りなく感じる話の特徴とその改善策:気持ちを具体的な言葉で表現する重要性
日本話し方センターの話し方教室では、人前で堂々と話せるようになるためのトレーニングだけでなく、相手に明確にメッセージを伝え、さらに「なるほど!」と納得感や共感を得られる話し方も身につけていただいています。
効果的なコミュニケーションを実現するためには様々な要素が絡み合いますが、中でも「自分の気持ちを話す」という点が非常に重要です。
これは、多くの人が意識していないにもかかわらず、話し方の質を大きく左右する要素です。
本稿では、2日間集中コースに参加したHさんとのやり取りを例に、「自分の気持ちを話す」ことの重要性と、具体的な方法について深く掘り下げて解説します。

1.物足りない感じがした受講生Hさんのスピーチ
Hさんは、話が要領を得ないことが悩みで、上司から「それで、何が言いたいの?」と頻繁に指摘されていました。
この課題を克服するために、Hさんは2日間集中セミナーに参加しました。
1日目には話のまとめ方に関する講義を受け、「失敗談」をテーマにスピーチを作成・練習しました。
この段階で、Hさんはある程度話の構成を理解したようでした。
2日目には「嬉しかった体験談」をテーマにした実習が行われました。
Hさんは、誕生日にお祝いメッセージをもらったエピソードを発表しました。
当初、Hさんの話は以下のようなシンプルなものでした。
- 家族からメッセージカードをもらった。
- 妻からは「お誕生日おめでとう、また家族で旅行に行こうね」
- 娘からは「おめでとう、家族の前で私のヴァイオリンを聞いてもらいたいな」
- 息子からは「おめでとう、新幹線に乗って温泉に行きたいな」
- とても嬉しかった。
確かに心温まるエピソードであり、「とても嬉しかった」という表現でHさんの感情も示されています。
しかし、どこか物足りなさを感じるのは否めません。
この物足りなさの正体は何でしょうか?
2.何が物足りないか?
Hさんのスピーチを聞いた後、私はHさんに
「素敵なご家族ですね。ところで、Hさんは何を嬉しいと感じたのでしょうか?」
と質問しました。
Hさんは少し考え込んだ後、
「家族全員からメッセージをもらって、これからも家族と仲良く色々なことができるんだな、と思って、とても幸せに感じたんです。それが嬉しかったんだと思います」
と答えてくれました。
さらに、
「自分の気持ちを言葉にして、それを口に出して確認すると、今まで気付かなかったことに気付くことができるんですね」
と、新たな発見に喜びを感じている様子でした。

3.気持ちを話すことがとても大切
当初のHさんのスピーチでは、「嬉しかった」という抽象的な表現しか使われていませんでした。
しかし、具体的な質問をきっかけに、Hさんは自身の感情を深く掘り下げ、真の喜びに気付くことができたのです。
私たちは日常生活で様々な出来事に遭遇し、様々な感情を抱きますが、それらを深く掘り下げずに流してしまうことが多いのではないでしょうか。
しかし、出来事についてじっくりと考え、具体的な言葉で表現することで、新たな発見や深い気づきを得られることがあります。
このことは、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションでも同様です。
例えば、事実のみを伝える報告は、上司にとって物足りなく感じられるでしょう。
例1: 「P商事に請求書を届けてきました。期日までにお支払いいただけるそうです」
例2: 「P商事に請求書を届けてきました。期日までにお支払いいただけるそうですが、皆さん忙しそうで人の出入りが以前より多かったです。かなり受注が増えているようなので、当社も営業すれば仕入れを増やしてもらえるかもしれません」
例1は、単に請求書を届けたという事実を報告しているだけです。
一方、例2は、事実だけでなく、Hさん自身の観察に基づく意見や提案が含まれています。
どちらの報告がより価値があるかは明らかです。
このように、自身の気持ちや考えを具体的な言葉で表現する訓練を続けることで、観察力や思考力が向上し、仕事でより信頼され、活躍できる人材へと成長できるでしょう。
4.気持ちを話すための4つのステップ
Hさんのケースからも分かるように、「自分の気持ちを話す」ためには、まず自分自身の感情を深く理解することが重要です。
そのためには、以下のステップを踏むことをお勧めします。
出来事を具体的に思い出す: いつ、どこで、誰が、何を、どのように、といった要素を明確に思い出すことで、感情の背景を理解しやすくなります。
Hさんの場合、「家族全員」から「メッセージカード」で「誕生日」を祝われたという具体的な状況を思い出すことが、感情を掘り下げるきっかけとなりました。
感情に名前をつける: 「嬉しい」「悲しい」「怒っている」「不安だ」など、自分の感情に具体的な名前をつけましょう。
漠然とした「何かモヤモヤする」ではなく、具体的な感情のラベルを貼ることで、感情の正体を明確に捉えることができます。
Hさんの場合、「嬉しい」という漠然とした感情から、「幸せ」というより具体的な感情に気づきました。
感情の理由を考える: なぜその感情を抱いたのか、その理由を深く掘り下げて考えましょう。
Hさんの場合、「家族と仲良く色々なことができる」という未来への希望が、幸せという感情につながっていたのです。
具体的な言葉で表現する: 感情とその理由を、具体的な言葉で表現してみましょう。
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードやイメージを用いることで、相手に感情が伝わりやすくなります。
Hさんの場合、「これからも家族と仲良く色々なことができるんだな」という具体的な言葉で表現することで、喜びがより鮮明に伝わってきました。
これらのステップを意識的に実践することで、自分自身の感情をより深く理解し、具体的な言葉で表現できるようになります。
そして、それはより効果的なコミュニケーション、ひいてはより豊かな人間関係へとつながっていくでしょう。

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