日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年12月9日就職面接のための効果的な準備とは!

少し前から日本話し方センターのベーシックコースには就活生の方が多く受講されるようになりました。就職面談できちんと話をする自信がない、実際に面談したが失敗した、という人たちです。そういう受講生と話をしていてとても気になることがあります。それは話が抽象的ということです。



例えば、こんな感じです。
「私は学生時代、バレーボール部に所属して一生懸命に練習した結果、全国大会で準優勝することができました。練習する際、意識したことは、チームに迷惑をかけないように自分の欠点を克服することです」
チームに迷惑をかけないように、というのは理解できるのですが、どのような欠点を、どのように克服し、結果どうなったのか、ということがこの話ではよくわかりません。この点を質問しても残念ながら曖昧な返事しか返ってこない、ということがとても多いのです。

では、どのようにしたら話を具体的にできるのでしょうか。それには具体的なエピソードを話の中に盛り込むのが最も効果的です。

ベーシックコースを受講している就活生のDさんは、自分の話が抽象的で納得感がないことに悩んでいました。Dさんからどうしたらいいか相談された私は、小学生から今までで自分の特徴が出ていると思うエピソードや心が動いたエピソードを書き出すようお願いしました。具体的な事実を集めることをお願いしたのです。
数日後、Dさんは私がお願いしたエピソードを書き出してきましたが、何だか浮かない顔です。書き出してみたけれど、ピンと来るものがなくてこの後どうすればいいのかよくわからないということでした。Dさんが書き出してくれたものは次の様なものでした。

①高校の時、物理の公式に当てはめて解くのではなく、公式の本質まで掘り下げて理解して解くようにした。これは、誰でもできることをやるのは嫌で自分ならではのユニークさを出したかったからだと思う。
②小学生から今まで友達は多かったし、今も友達と関わることが楽しいと感じている。
③小学校高学年の時、友達と秘密基地を作るのに熱中した。自分たちだけの落ち着ける空間を作るのが楽しかった。

私はこれを見て即座に、これはいける! と思いました。
私は「Dさんにとって友達とはどういう存在ですか?」と確認しました。
「自分にとってなくてはならないものです。でも、友達には自分と似たような人が多いですね・・・お互いに競い合う存在かも知れません」
というのがDさんの答えでした。

そこで、私は次のような仮説を考えたのです。
・①と③を見ると、Dさんは自分の個性を活かした、自分だからできるユニークさを大切にしているのではないか。また、何かを創り出す、ということにとても興味があるのではないか。
・②と③と追加の応答から、Dさんにはお互いに切磋琢磨する存在が不可欠なのではないか。
この仮説をDさんに話してみたところ、「あっ! そうです! 何だかとってもしっくりきます!」という反応が返ってきました。

そうであれば、Dさんがどのような会社に勤めたいと思っているか、ということもイメージできてきます。
・独創性豊かなものを生み出すことにチャレンジしている会社
・新しいものを創り出すことに社員同士が情熱を傾けている会社
Dさんにこれも伝えたところ、「そうですね。とても納得できます。」とうれしそうでした。

当初浮かない顔をしていたDさんは、エピソードを書き出すのが精一杯で、話をつなぐという視点が弱かったのです。人間は集中して考えだすと極端に視野が狭くなるので、Dさんが気付かなかったのはある意味当然のことと言えます。しかし、上に述べたように一つひとつの話を解釈した上でつないでいくことで新たなものが見えてきたり、新たな発想ができるようになります

就活においては自分の性格や特徴、考えを端的に語って相手に納得してもらわねばなりません。その際に裏付けとなる事実=エピソードを話すことは必須なのです。これから就職面接を受ける人は、過去の自分のエピソードをできるだけ書きだして、それらを客観的に見てつなぎ合わせてみてください。きっと新たな発見があり、面接で話す材料が次々にできてくるはずです。

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