日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年11月8日相手をイライラさせない話し方とは?

私はある治療のために月に一回、クリニックに通っています。

診察の予約をするためそのクリニックに電話をしました。

その際、「ついでにインフルエンザの予防接種は受けられますか?」と聞きました。

すると、クリニックの受付の人は、

「診察と予防接種を同時にご希望の場合は、インフルエンザの予防接種の部分は保険の適用がされないということもありまして、~」

と2分ほど、延々と制度の説明をした後、

「なので、通常インフルエンザの予防接種は3000円ですが、診療と一緒に受けられる場合は4000円になりますが、どうされますか?」

と確認されました。

結局、予防接種は別の日に受けることにしましたが、この受付の人の電話の応対にモヤモヤ感が残りました。



何が私にモヤモヤとした気持ちを感じさせたのでしょう?

この受付の人をSさんとしましょう。

 

まずSさんは私の質問にきちんと答えていません。

私は「予防接種が受けられますか?」と聞いたのです。

これは「はい」か「いいえ」の答えを求める質問です。

(ちなみにこういう質問をクローズドクエスチョンと言います。)

しかし、Sさんは私の質問に「はい」とも「いいえ」とも言わずに値段が高くなるということを説明し始めました。

もし私が「予防接種にはいくらかかりますか?」と質問したならばこの回答でもはずれてはいないでしょう。

しかし私は「受けられますか?」と質問しているので、この答え方は適切ではありません。

こうした答え方は日常の中で頻繁に遭遇するパターンです。

相手が質問したことにまず答えるということが大切です。

 

次に、Sさんは値段が高くなるということを制度の説明から始めました。

しかし、私はその説明を聞いている間、「だから結局どうなの?」とずっとイライラしながら聞いていました。

Sさんは、通常3000円の代金が4000円になる、ということを始めに言うべきでした。

このように話の趣旨を先に言うのはとても大切です。

日本話し方センターの話し方教室では、話の趣旨を「主題」と表現し、話の前に必ず言うようにお伝えしています。

値段が高くなる、ということが最初にわかっていれば、私はその後の説明を落ち着いて聞くことができたでしょう。

 

そして、実は私には詳しい診療制度は聞かなくてもよい話でした。

Sさんにしてみれば、

「予防接種は受けられるんですけど値段が高くなってしまうんですよね」

ということから、申し訳ない、という思いがあったのだと思います。

なので、値段が上がるのは仕方ないんです、という意味で制度の説明を詳しくしたのだと思います。

しかし、私が必要としている情報は、

・診療時に予防接種が受けられるのか?

・代金は変わらないのか?

ということだけです。

その理由は簡単にわかればいいことでした。

従って、Sさんは、

「診療時に予防接種は受けていただけます。

但し、診療と予防接種を同時に受けられる場合は、制度の規定で予防接種に保険が適用されないため、通常3000円の代金が4000円になります。」

と言ってくれればよかったのです。

 

・相手の質問に明確に答える

・先に話の趣旨を言う

・相手に取って不要と思われる説明は省く

Sさんは、私に、こうしたことに気をつけないといけないな、と思わせてくれた反面教師でした。

 

日本話し方センターの話し方教室では、相手に立場に立った話し方をあらゆる側面からお伝えし、トレーニングしています。

ぜひ一度無料体験教室にお越しください!
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