日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2020年8月8日話は「考える力」と「伝える力」のかけ算

前回のブログ「論理は人の気持ちを動かすために使う」で、就職活動のためにプライベートレッスンに来られた大学3年生のBさんのレッスンで気付いたことについて書きました。

就職活動の面接のためのレッスンであれば、一般的には次のようなアドバイスを期待されるかも知れません。

「こういう質問をされたらこのように回答しましょう。」

「大きく明るい声で話しましょう。」

「始めに結論を言いましょう。」

しかし、私はBさんには、感情豊かに話すことは大事ですよ、ということを伝えただけで、それ以外の話し方に関するアドバイスは一切しませんでした。

なぜならば、Bさんは、話し方以前に大切な、自分はどういう働き方をしたいのか、どういうことを大切にして生きていきたいのか、ということがかなり曖昧だったからです。



前回のブログで、「人間は良くも悪くも感情の動物だ」ということを書きました。

何かを判断するとき、人は必ず感情が動くので、論理的に話す場合でも相手の感情を動かすように論理を使わなければなりません。

このように聞き手の感情に寄り添うように話をすることが肝要ですが、一方で、話し手にも感情があります。

納得できないことや余り気が乗らないことを話す時には、その迷いや少し冷めた気持ちがそのまま話し方に表れてしまいます。

そして、それが聞き手にも伝わってしまいます。

逆に、納得できていることやぜひ伝えたいと思っていることを話す時には、意図しなくても話し方に迫力のようなものが出てきます。

この迫力が出ると、聞き手を話に引き込むことができます。

なので、話す場合にはまずしっかりと考えて、納得できる構成やストーリー、言葉を組み立てて「この話がしたい!」というものにすることが必要です。

これによって、熱意を持って話すことができるベースが整います。

そして、それが相手に伝わるように話し方のテクニックを磨きます。

いくら相手に共感、感心してもらえる内容でも、相手が聞き逃すくらい早口だったり、「え~」「あの~」を連発して聞き手が集中して聞けないような話し方では、きちんと理解してもらえません。

 

話は「考える力」と「伝える力」のかけ算で決まります。

私は、Bさんは、社会で働いていく上での価値観やこれからの生き方ということについて、もっともっと整理する必要があると感じました。

就職面接に対するアドバイスをする人は、冒頭に書いたようなテクニック面を主に指摘されるようです。

しかし、私は就職活動においては、上に述べた自分の価値観などをしっかりと認識することがとても重要だと思っています。

自分がこれから社会人として活躍する上で、大切なものは、仕事の種類、組織風土、扱う商品など、何を重視するのか。

また、自分が働いていく上で、これだけは絶対に必要だ、逆にこれだけは絶対に嫌だ、というものは何か。

こうしたことをしっかりと考えることで、悔いのない選択をする確率が高まります。

また、面接でどんな質問をされても堂々と答えることができます。

 

就職面接に限らず、話をする前にはまず話す内容をしっかりと考えましょう。

 

日本話し方センターでは、様々なご要望にお応えするために、プライベートレッスンを受け付けています。

話す内容を考えることもサポートしています。

ご興味のある方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
>横田章剛のブログTOP