日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年5月18日何が言いたいか、事前によく考えよう!



★話すトレーニングで苦手意識をなくす


話すことが苦手だと思っている方は、世の中にかなり大勢いらっしゃいます。そうした方々の多くは、どうしたら話すことに苦手意識がなくなるかわからずに一人で悩んでいます。話に対する苦手意識をなくすには、話すトレーニングを繰り返して行うことが有効な解決策です。そのために、日本話し方センターの話し方教室では、2分間のスピーチを何度も行うことで苦手意識を克服してもらっています。



★話の上達にはどう話すか考えることも大事


しかし、話すトレーニング以外にも話の上達に必要なことがあります。それは話のネタを集めること、そしてそのネタをどう話すか考えることです。そもそも話すネタがないことが、話が上手くない大きな原因となっています。なので日頃から話の材料を集めることはとても大切です。そして次に大切になるのは、その材料をどのように相手に伝えるか考えることです。今回はこのことについて解説します。




★ある受講生のスピーチ


少し前に、ベーシックコースを受講している大学生のGさんから、作成したスピーチへのアドバイスを依頼されました。話の概要は次の様なものでした。
「家を出て歩いて駅に着く頃に財布がないことに気付きました。戻って家の中を探したが見つからないので、どこかで落としたと思い、交番に届けました。応対してくれた警官はとても丁寧に聞き取って書類を作成してくれました。その後、2日経っても出てこなかったが、ふと思いついて、いつも持ち歩いているカバンの奥にあるポケットを探ると財布が出てきました。見つかってホッとしました」
いかがでしょうか? 私はこのGさんの話を聞いて、とても物足りなく感じました。それは、話の内容が事実説明中心で、Gさんの気持ちや考えがほとんどないからです。



★何が言いたいかが大事


話をする場合、その話で何が言いたいかを明確にし、その言いたいことを相手に伝えることがとても大切です。Gさんは、この話で何が言いたいのかを明確にしていません。それがとても勿体ないと感じたのです。


例えば、財布がないことに気付いたときにあわててしまい、カバンの中や身の回りをきちんと確認しなかったかも知れません。その点に着目すると、言いたいことは「どんなときも落ち着いて確認しよう」ということになるでしょう。また、財布をいつも入れているところとは別のところに入れたからこうしたことが起こった、とも言えます。この点に着目すると、言いたいことは「大切なものは決まったところに保管しよう」ということになります。更に、どこかで落としたに違いないという思い込みが強くて、きちんと身の回りを確認しなかったとすれば、言いたいことは「思い込みには注意しよう」となります。視点を変えると、交番の警官が丁寧に話を聞いてくれたことで、それまでの焦る気持ちが和らいだことが印象に残っているとしましょう。その場合は「人の話はていねいに聞こう」ということが言いたいことかも知れません。



★1つの話題から言いたいことは複数見つかる


このように、1つのエピソード=話題から、自分の気持ちや考え=主題は色々と出てきます。時間に余裕があるなら、最近の心に残ったエピソードをもとに、色々と言いたいことを考えてみてはどうでしょうか。その中で一番自分がしっくりくるものが自分の価値観に近いものなので、自分探しの材料にもなります。言いたいことは、はじめはなかなか浮かんでこないかも知れませんが、慣れればすぐに思いつくようになります。「話すことは考えること」です。ぜひチャレンジしてみてください。



★考える訓練をしよう!


日本話し方センターのベーシックコースオンライン短期集中トレーニングコース2日間集中セミナーでは、上に述べた「言いたいこと」を考え、それに沿った話にまとめるトレーニングをベテラン講師の指導で行っています。その成果は多くの受講生が実感されています。ぜひ「受講者の声」をご覧ください!

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