日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年12月1日まず相手のよいところを伝えよう!

日本話し方センターの各コースの受講生から「先生はとにかくほめてくれるので、とてもやる気が出ます!」という声をよく聞きます。確かに、日本話し方センターの講師は受講生がスピーチした後、まずよい点をほめ、その後に改善点をアドバイスしています。それを適切に感じ取ってくれている受講生がいることはとてもうれしいことです。

日本話し方センターの講師は全員、受講生のよい点をほめてから次の課題をアドバイスしています。話すことに強い苦手意識がある受講生に「もっと大きな声で!」「話が長すぎる。余計なところは削って!」などといきなり改善点を指摘したらどうでしょう。ただでさえ苦手意識があることなのに、ダメ出しばかりされてはやる気もなくしてしまいますよね。それに練習をすれば以前よりもよくなった点は必ずあるはずです。でも本人はそのことに中々気付けません。それを言葉にして伝えて成長を実感してもらうことも講師の大切な役割なのです。こうした理由で講師はまずよくなったところを伝えるようにしています。

ところで、私はこの最初によい点を伝えるという方法は、現在のコミュニケーションの取り方として、とても重要なことだと思っています。
一般に仕事で上司が部下を教育・指導する場合、
「また資料に間違いがあったのか! 君は作った資料をきちんと確認しないから、いつもこんなつまらない間違いばかりするんだよ!」
というような言い方をよくします。これは相手の欠点に焦点を合わせて、それを指摘することに意識を集中させた言い方です。

しかし、こうした言い方は現在の20~30歳代の人には受け入れられなくなりつつあります。話は相手に受け入れられるように話さないと伝わりません。話の責任は話をする方にあります。上司は現在の20~30歳代にも伝わりやすい話し方をする必要があるのです。

では、どういう話し方がよいのでしょうか。
上の例であれば、
「いつも資料を作ってくれてありがとう。期限通りに仕上げてくれたのでしっかりとチェックできたよ。ところで、今回も数カ所に誤りがあったんだけど、これは見直しをしていなかったからかな?」
(部下の「はい。していませんでした」という答えを受けて)
「じゃあ、君がもっと人から信頼される仕事ができるようになるためには、今後どういうことに気をつければいいかな?」
という話し方の方が伝わりやすいでしょう。

この例は、冒頭に紹介した日本話し方センターの講師の話し方と同じです。つまり、まず相手の現状を肯定的に受け入れた上で、もっとよくなるにはこうした方がよいと思う、ということを共感的に話す、というスタイルです。(この例では、部下により気付きを与えるために最後は質問形式にしています)

人はとにかく他人の欠点に目が行きがちです。その目についた欠点をそのまま指摘する、というのが今までの上司の話し方でした。しかし、その欠点を欠点ととらえるのではなく、今よりももっとよくなるための改善点ととらえて話すとよいでしょう。しかし、20年以上社会経験のある上司の方には、この考え方は部下に迎合的で納得できないもの、と思われるでしょう。私も40年弱の社会経験があるので、その気持ちは痛いほどよくわかります。しかし、上にも書いたように話は相手に理解されて初めて価値が生まれます。自分よがりの話し方では相手に伝わる可能性は低くなってしまいます。
ぜひ相手に伝わる話し方を常に意識していただきたいと思います。

日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーオンライン短期集中トレーニングコースでは、上に述べたように講師が受講生の「今」を肯定的に受け止めてから、次のステップに行くためのアドバイスを差し上げています。苦手な話し方のトレーニングを少しでも楽しんでいただけるよう創意工夫を重ねています。

ぜひご受講をご検討ください!
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