2026年4月14日【伝わる話し方】『何度も言う』が人の記憶に残る秘訣!
『前にも言ったはずなのに』と、部下や社員にガッカリした経験はありませんか?
私たちは日々、仕事やプライベートで「伝える」ことの難しさに直面しています。
特に、リーダーや経営者の立場にある方なら、自分の思いや方針を組織全体に浸透させることの重要性を痛感されていることでしょう。
もしかすると、あなたはこう考えているかもしれません。
「同じことを何度も言うのは、スマートな話し方とは言えないんじゃないの?」
「一度言えば、相手は理解してくれるはずだ」
しかし、実はその「常識」こそが、あなたのメッセージが伝わらない最大の原因かもしれません。
今回は、あなたの話がなぜ伝わらないのか、そして、どうすれば確実に相手に伝わり、記憶に残るようになるのか、その秘訣を解説します。
キーワードは「繰り返し」です。

1.あなたのメッセージが「伝わらない」「覚えられない」のはなぜ?
「大事なことを言います。一回しか言わないからよく聞いてくださいね」
このような話し方を耳にすることがあります。
話す側としては、相手に緊張感を持たせ、集中して聞いてもらいたいという切実な思いがあるのでしょう。
しかし、残念ながら、一度言っただけで相手にきちんと伝わることは、ほとんどありません。
また、経営者や部門長が、会社や部門の重要な方針や自身の考え方を一度話した後、その後の朝礼などで同じ話を繰り返すことは少ないものです。
「この話は以前にしたから、社員に『なんだ、この間聞いた話じゃないか。もう知っているよ』と思われるな・・・」
このように考え、同じ話を繰り返すことを避ける、というのは誰しも考えることです。
しかし、本当に社員は一度聞いただけで、その方針やトップの考え方を深く理解し、記憶しているのでしょうか?
あなたのメッセージが「伝わらない」「覚えられない」のは、話し手の「ある思い込み」と、聞き手の「人間としての特性」が深く関係しています。
伝わらない話し方が引き起こす損失
もしあなたのメッセージが伝わらないままだと、以下のような損失が発生する可能性があります。
・機会損失: 重要な指示や方針が伝わらず、ビジネスチャンスを逃す。
・生産性の低下: 認識のズレから手戻りが発生し、業務効率が落ちる。
・モチベーションの低下: 目的や意義が理解されず、社員のやる気が失われる。
・信頼関係の悪化: 「言った」「聞いてない」のすれ違いから、人間関係に亀裂が入る。
これらを避けるためにも、「伝わる話し方」を身につけることは、リーダーや経営者にとって不可欠なのです。
2.聞き手の現実:人はあなたの話を真剣に聞いていない(そして覚えていない)
あなたが「一度言えば伝わるはず」という思い込みを抱いている一方で、聞き手の側には、あなたの話を阻むいくつもの壁が存在します。
① あなたが話したことを、相手はきちんと聞いて覚えているわけではない
話をする人にありがちな思い込みの最たるものが、「自分が話したことを、相手はきちんと聞いて覚えている」というものです。
しかし、残念ながら、これは大きな誤解です。
人は話を聞いている時、一見集中しているように見えても、実は完全に集中しているわけではありません。
(今日のお昼に銀行に行かなきゃ)
(あっ、あの件、課長の耳に入れて置いた方がいいな)
(この資料、後で修正しなきゃいけないな)
このように、人の話を聞きながらも、ついつい別のことを考えてしまうことは、誰にでもあることです。
そして、そんな別のことを考えている間は、話を聞くことがかなりおろそかになってしまいます。
あなたが思っているほど、人はあなたの話を真剣には聞けていないのです。
② 人間の集中力は驚くほど短い
さらに、話が長くなるほど、聞いている人の集中力は低下していきます。
一般的に、人間の集中力は15分〜20分が限界と言われています。
特に興味のない話や、複雑な内容であれば、さらに短い時間で集中力が途切れてしまうでしょう。
長い話ほど、聞いてもらえないどころか、記憶にも残してもらえません。
これは、話の内容がどれほど重要であっても同じです。
話の途中で集中が途切れてしまえば、肝心な部分を聞き逃してしまう可能性は高まります。
③ 聞き手にとって、あなたの話はそこまで重要ではないかもしれない
そして、もう一つ、話し手にとって耳の痛い事実があります。
それは、「『大事な話』だと思っているのは話をしている人であり、聞いている人がその話を大事だと思うとは限らない」ということです。
あなたが心血を注いで準備し、重要だと考えている話でも、聞き手にとっては「数ある情報の一つ」に過ぎないかもしれません。
聞いたけれど、それほど大事だと思わなかった話は、人間の脳はすぐに忘れてしまうのが自然なことです。
心理学では、「エビングハウスの忘却曲線」というものが知られています。
これは、人は一度記憶したことでも、時間の経過とともに急速に忘れていくことを示しています。
例えば、学習した内容の約74%は1日後には忘れてしまう、というデータもあるほどです。
これらのことから、話し手が思っている以上に、聞き手は話を真剣に聞いていないし、残念ながら覚えてもいないのです。

3.大事なことは「繰り返す」からこそ伝わる!
上記の理由から、あなたが本当に伝えたいこと、相手に実行してほしいと願うことは、一度や二度話しただけでは決して伝わりません。
だからこそ、何度も繰り返して言う必要があるのです。
トップが組織の方針や自分の考えを社員に浸透させたいのであれば、朝礼で1回だけ話すのではなく、その後も様々な機会を捉えて繰り返し話さなければなりません。
リーダーがメンバーに特定の行動を促したいのであれば、ミーティングで1回指示するだけでなく、その後も折に触れて同じ話を繰り返すことが求められます。
「繰り返し」は、メッセージを相手の心に刻み込み、行動を促すための最も効果的な手段なのです。
しかし、ただ漫然と何度も同じ話を繰り返しても、相手には「また同じ話か…」と飽きられてしまい、聞いてもらえませんし、記憶にも残りません。
時には、話し手への信頼感を損ねる結果にもなりかねません。
そこで重要になるのが、「効果的な繰り返しの工夫」です。そのポイントは主に2つあります。
4.繰り返しに説得力を持たせる「自ら宣言する」話し方
効果的な繰り返しの1つ目のポイントは、「何度も同じことを言っている、と自ら言う」ことです。
「以前から何度も言っていることですが、とても大事なことなので、改めて、繰り返しお伝えします」
「今日も同じ話をします。少しお付き合いください。それだけ重要なことなんです」
このように、あなたの言葉で「私は今から、意識して同じ話を繰り返します」という意思を明確に伝えることが肝要です。
なぜなら、これを言わないと、聞いている人はこのように感じてしまう可能性があるからです。
(前から何度も聞いている話だけど、社長は覚えていないのかな?)
(また同じ話してるよ。もう部長もいい歳だから、自分が何を話したのか忘れたんだな)
このような疑念は、話し手への信頼感を著しく低下させてしまいます。
信頼感が揺らげば、どんなに重要な話でも、相手は耳を傾けなくなってしまいます。
しかし、「分かっていて敢えて同じ話をしている」ということを伝えることで、聞き手の受け止め方は大きく変わります。
「あれ、また同じ話だ。でも、わざわざ言ってるってことは、それだけ大事なことなんだな」
「社長は以前から言っていることを、本当に浸透させたいと思っているんだな」
このように、話に集中してもらうために、また話の重要性を改めて理解してもらうために、「意図的に繰り返している」ことを自ら宣言することは、非常に効果的な話し方なのです。
5.記憶に残り、行動を促す「キーワード」の力
効果的な繰り返しの2つ目のポイントは、「キーワードを話す」ことです。
人は長い話を聞いた後、その内容を記憶する際には、その主旨を短い言葉に要約しようとします。
これを私たちは「キーワード」と呼んでいます。
例えば、あなたが熱心に話した後に、相手から「要するに、△△ということが言いたいのね」と言われた経験はありませんか?
これは、聞き手があなたの話の核となる部分を、自分の中で短い言葉にまとめようとした結果です。
この人間の特性を逆手に取りましょう。
最初に話の主旨をキーワードにまとめて話し、その後でそのキーワードに対する解説や説明をするのです。
例えば、
「我々の事業の本質は、一言で言えば**『人に自信を取り戻してもらう』**ということです。そのために、私たちは…」
「皆さんにぜひ意識してほしいのは、**『常に考える』**ということです。なぜなら…」
このように話すことで、聞き手の理解は格段に進みます。キーワードは覚えやすく、話の主旨を記憶してもらえる確率も飛躍的に高まります。
【キーワードの選び方・使い方ヒント】
・シンプルに: 誰でも理解できる、短く覚えやすい言葉を選びましょう。
・具体的に: 抽象的な言葉だけでなく、具体的な行動やイメージが湧く言葉を意識しましょう。
・行動を促す: 聞き手が「何をすればいいのか」が明確になるキーワードは特に強力です。
・繰り返し使う: 記事全体、あるいは組織内で、そのキーワードを繰り返し使うことで、共通認識として定着しやすくなります。
キーワードは、単なる言葉の要約ではありません。
それは、組織の方針を浸透させ、社員の行動を統一し、強い企業文化を育むための強力なツールとなります。
リーダーにとって、自分の思いや方針を社員に伝え、記憶に留めてもらうことは、組織を動かす上で最も大切なことの一つです。
そのために、大事なことは「繰り返して言う」ことを恐れず、そして「効果的に繰り返す」ための工夫を凝らしましょう!

6.あなたの「伝えたい」を「伝わる」に変える話し方へ
「一度では伝わらない」という現実を受け入れ、「繰り返すことの重要性」を理解し、さらに「自ら宣言する」話し方や「キーワード」を活用することで、あなたのメッセージは劇的に伝わりやすくなります。
これは、今日からすぐに実践できる、話し方のスキルの一つです。
しかし、「伝わる話し方」の奥深さは、これだけにとどまりません。
声のトーン、表情、ジェスチャー、言葉の選び方、構成の仕方など。
これらすべてが複合的に作用し、あなたの「伝えたい」が「伝わる」に変わるのです。
日本話し方センターのベーシックコースでは、今回ご紹介した内容はもちろんのこと、様々な人が、様々な場面で応用できる話し方、伝え方の基礎を3ヶ月かけて、しっかりと身につけていただいています。
「話が伝わるようになった!」
「自信を持って話せるようになった!」
「人間関係が改善した!」
など、その成果は多くの受講生が実感されています。
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