日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年3月8日視覚に訴えながら話をしよう!

日本話し方センターのベーシックコースでは「効果的な視覚物の使い方」という講義を行っています。

人は物事を理解したり記憶したりする時、必ずその対象のものをイメージ化します。

話も同じで、聞いたことを頭の中でイメージできれば話は格段に理解しやすくなります。



そのため、ベーシックコースでは「聞き手の頭の中に具体的なイメージが浮かぶように話してください」とアドバイスしています。

しかし、言葉を聞いてそれを映像化するよりも、目で見てイメージできるものを見せればより理解が容易になりますし記憶にも残りやすくなります。

なので、話し方教室でも先に述べた講義で目に見えるものを使って話をする方法をお伝えしています。

話をする際に、写真やグラフ、本、新聞記事などを示すと聞き手はイメージしやすくなります。

新聞の切り抜きなどは小さくて聞き手から文字は読めませんが、それを示すことで「ああ、本当にあった話なんだな」ということがわかります。

また、身振り手振りで数や大きさを示すのもよいでしょう。

「今からポイントを3つお話します」と口だけで言うよりも、「今からポイントを」まで話した後、指を3本立てながら「3つお話します」と言った方が、聞き手にははるかにわかりやすいです。

また、「とても大きなカゴをくれました」と言うならば、手でその大きさを示しながら言うと聞き手はその大きさをつかみやすくなります。

但し、ジェスチャーはとにかく手を動かせばいいというものではなく、意味のある動きに留めてください。

意味もなくやたらに手を動かすと、聞き手はその動きに気を取られて話に集中できなくなりますので要注意です。

 

このように、視覚物には物事の理解を助けるという効果がありますが、最近、別の効果があることを実感しました。

私は、毎年7~8回、会議を効果的に進めるファシリテーション研修の講師を務めています。

研修では、グループに分かれてファシリテーションの実習をしてもらいます。

当初は、その実習を「25分でお願いします」と言葉だけで時間を伝えていました。

ところが演習に熱中して、終わりの時間を忘れてしまうグループが続出。

中途半端な状態で終わらざるを得ず、もったいないなぁ、と思っていました。

しかし、ある日思いついて、プロジェクターを映しているスクリーンにタイマーで残り時間を表示することにしました。



すると、参加者は演習をしながら残り時間をチェックするようになり、「後10分だからそろそろまとめよう」など時間内に終わらせることを意識するようになったのです。

それからは、実習ではタイマーを表示するようにしています。

 

私はこの経験から、視覚に訴えるというのは、物事を忘れずに意識する、という点でもすごく効果的だな、と改めて思いました。

我々は聞いたことをすべて覚えていられません。

実習を始める時、参加者は「どんなことを話そうか」ということに考えを巡らせているはずです。

そんな時に「25分でお願いします」と言っても、私の言葉はほぼ記憶には残っていないでしょう。

言葉というのは、常に流れていくものなので、余程印象的でないと記憶には残りません。

でも、タイマーが表示されていると、時間を守らねば、という意識が自然と持続します。

 

このように視覚物には、言葉を補う効果がありますので、せひ活用してみてください。

日本話し方センターでは、上に述べた視覚物などを含めて、話を相手に伝えるために必要なことを幅広く学んでいただいています。

その効果は多くの受講生が実感されています。

是非「受講生の声」をご確認ください!
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