日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年4月22日相手の話を受け止めましょう

緊急事態宣言が発令されて2週間以上が経過しましたが、新たな感染者の人数が依然として増えています。

日本話し方センターの話し方教室の各コースも休講していますが、このままではゴールデンウィークが終わってもしばらく休講しないといけないのではないか、と気をもんでいます。

一日も早い終息を心から願っています。

 

さて、今回は話し方教室でお伝えしていることの中から「相手の話を受け止める」というテーマでお話をします。



 

私は、このテーマについて話をする場合、主に次の2つのことについて解説しています。

「相手の話を良く聞いてから話をしていますか?」

「相手の話を受け止めてから自分の話をしていますか?」

それぞれについてご説明します。

 

まず、「相手の話を良く聞く」ということについてです。

皆様は、「話し上手は聞き上手」ということばをお聞きになったことがあると思います。

様々に解釈できることばですが、私はこのことばの意味を、次のように理解しています。

日常会話で、

Aさん:「この間、北海道に行ってきたんですよ~」
Bさん:「おっ!北海道ですか! いいですね~ 北海道は食べ物がおいしいですよね~」

という会話があったとします。

一件、かみ合った会話で何も問題がないように見えますが、もしAさんが、北海道の景色が素晴らしかった、という話をしたかったとしたらどうでしょうか。

Bさんが食べ物の話にもっていったのでは、Aさんは風景の話しを出しにくくなります。

その後、Bさんと食べ物の話をしたとしても、会話に身が入らない可能性もありますね。

北海道に行ってきた、という話をしたからには、Aさんには、北海道の何がよかったのかを聞いて欲しい、という思いがあるはずです。

相手が何を話したいのか、しっかりと見極めてから話をすると、相手に受け入れてもらえて話がかみ合います。

その上で話をするから相手に「話し上手」と思ってもらえるのです。

このように、相手が何を言いたいのか、最後まで見極めてから話をする、ということを意識しましょう。

 

2つ目の「相手の話を受け止める」ということについては、肯定的な言葉で共感的に会話を進めることが大切です。

相手の話を聞いて誤りや不足を感じた場合、次のような反応をしてしまうことはありませんか?

「ああ、でもですね~」
「そうは仰いますが~」
「いやいや、そうじゃないんですよ~」

こうした話し方をすると、相手は自分を否定されたと感じて、話す気がなくなります。

「なるほど、そうですね」
「素晴らしいですね!」
「ああ、仰るとおりですね」

など、まず共感を示すことばで相手の話を受け止めましょう。

そうすることで、後の会話を共感的に進める下地を作ることができます。

 

その後に、アドバイスなどを行えばいいのですが、その際にも注意すべきことがあります。

それは「ダメ出し」はしないことです。

「でも、あなたのこういう所はよくない」

「でも、まだこういう点が全然できていない」

などの表現を使うと、せっかく最初に共感的に受け止めたことも台無しです。

「さらによくなるには、○○した方がよいのでは」

「今でOKなので、次のステップに行くためには○○を意識してみては」

など、今を肯定した上で、さらによくなるためには、という表現で話をすると相手も受け入れやすくなります。

 

相手の話を受け止める、ということは、職場でも家庭でもとても大切なことです。

ぜひ今まで以上に意識してみてください。
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