日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2026年3月27日「部下を動かす」上司の話し方とは? 信頼関係を築くコミュニケーション術

 

「なぜ、今の部下は『動いてくれない』のか?」


「良かれと思って伝えたのに、どうすれば部下に響くのだろう?」


「ハラスメントと捉えられないか不安で、本音で話せない・・・」


もしあなたが、このような悩みを抱えているマネージャー層の上司であれば、本記事はあなたの部下育成のヒントになるはずです。


「上司の言うことは絶対」という時代は終わりを告げました。


現代の部下は多様な価値観を持ち、一方的な指示や命令では、彼らの心に響きません。


結果として、チームのパフォーマンスは上がらず、上司と部下の間に溝が生まれてしまうことも少なくありません。


しかし、ご安心ください。


部下を動かす「伝わる話し方」は、誰でも習得できるスキルです。


私たち日本話し方センターのベーシックコースには、日々多くのマネージャー層の方々が「部下とのコミュニケーション」の改善を求めて参加されています。


彼らが共通して抱える課題、そしてその解決策を、具体的な事例を交えながら解説します。


この記事を読み終える頃には、あなたは部下との信頼関係を深め、チーム全体のパフォーマンスを最大化するための「伝わる話し方」のコツを掴んでいることでしょう。


ぜひ最後までお読みください。



1.なぜ今、上司の「話し方」がこれほど重要なのか?


昭和や平成の初期には、「上司は偉いから言うことを聞くのが当然」という共通認識が、上司にも部下にも確かに存在しました。


そのため、上司が多少感情的に「何やってんだ!バカヤロウ!」と部下を叱りつけるような場面があったとしても、部下はそれを受け入れ、成長の糧とすることも少なくありませんでした。


しかし、現代のビジネス環境は大きく変化しています。


 

変化する時代と部下の価値観


現代の部下は、「上司は絶対的に偉い」という認識をほとんど持っていません。


彼らは個人の尊重、ワークライフバランス、自己実現といった要素を重視します。


情報過多の時代において、一方的な指示や命令は「なぜそうするのか」という納得感を伴わなければ、彼らの心には響きません。


 

ハラスメントリスクの高まりとリーダーシップの課題


さらに、ハラスメントに対する意識の高まりも、上司の話し方に大きな影響を与えています。


昔ながらの指導法が、意図せずハラスメントと捉えられてしまうリスクもゼロではありません。


このような状況下で、上司は「何をどう話せば良いのか」と戸惑い、部下との距離ができてしまうケースも散見されます。


結果として、部下は上司の言葉を真剣に聞かなくなり、主体性やエンゲージメントも低下。


チーム全体の生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。


つまり、現代において上司の「話し方」は、単なるコミュニケーションスキルを超え、組織の成長を左右する重要なマネジメント能力として、その真価が問われているのです。


 

2.信頼関係を築く大前提:「部下の承認」こそが第一歩


では、変化する時代の中で、上司が部下と効果的なコミュニケーションを図る上で、最も大切なことは何でしょうか?


それは、部下のありのままの姿を肯定的に認め、受け入れることです。


話は、相手に共感してもらうことで、初めて聞いてもらいやすくなり、伝わりやすくなります。


自分のことを認めてくれない、受け入れてくれない相手の話を、誰しも真剣に聞こうとはしないでしょう。


これは部下にとっても同じです。


上司が部下を「否定的に見る」のではなく、「肯定的に認める」ことが、何よりも必要なのです。


そして、その承認の気持ちを「言葉」にして部下に届けることが重要です。


 

個性を尊重し、肯定の言葉を贈る


人には、それぞれの個性や特徴があり、得意・不得意があります。


話をする場合は、その個性や特徴・能力が、組織や環境、状況に「どう活かせるか」という視点を持つべきです。


そうすれば、たとえ指導やアドバイスなど、部下にとって耳の痛い話をする時でも、部下に受け入れられる話し方ができるでしょう。


なぜなら、部下は「自分自身が認められている」と感じるからです。


「この上司は、自分のことを理解してくれている」という信頼感が、部下の心を開き、あなたの言葉を受け入れる土壌を育むのです。


 

3.注意!「善し悪し」で部下を判断しない


部下のことを認め、肯定的に受け入れる上で、特に注意すべきことがあります。


それは、自分の価値観で相手の「善し悪し」を判断しない、ということです。


先に述べたように、人には多様な個性があります。




  • 細かいことが気になる人と、気にならない人

  • 社交的な人と、人に話しかけるのが苦手な人

  • 言葉数が多い人と、少ない人

  • 直感で判断する人と、論理で判断する人


これらの個性は、どれが「良くて」、どれが「悪い」ということはありません。


それぞれが持つ特性であり、状況や役割によっては強みにも弱みにもなり得ます。


しかし、私たちは日常的に、この個性の違いを、自分の価値観に照らし合わせて「善し悪し」で判断し、話してしまうことがよくあります。


例えば、




  • 「そんな細かいことまで気にするから仕事が遅いのよ!」

  • 「誰にでもいい顔をしていると、舐められるぞ!」

  • 「もっと自分から積極的に話さないと、人には認めてもらえないよ!」

  • 「感覚で物事を決めるのは良くないよ!」


このような言い方をされると、部下は「自分自身を否定されている」と感じてしまいます。


結果として、部下は萎縮してしまったり、上司を避けたり、最悪の場合、心身の不調をきたしたりする可能性さえあります。


部下の個性は、チームの多様性であり、可能性です。


それを頭ごなしに否定するような話し方は、部下の成長の芽を摘み、チーム全体の活力を失わせてしまうことを理解しましょう。



4.部下の「個性」を尊重した具体的な伝え方


それでは、部下の個性も含めたありのままの姿を肯定的に受け入れ、それを言葉にするにはどうすれば良いでしょうか?


部下が納得し、前向きに行動するための具体的な話し方を見ていきましょう。


重要なのは、「まず部下を肯定する言葉から始める」ことです。


 

具体例で学ぶ「肯定ファースト」の話し方


 

① 「細かいことが気になる」部下への伝え方


NG例:
「そんな細かいことまで気にするから仕事が遅いんだよ!」

OK例:
「〇〇さんは、いつも細かい所まで気を配ってくれてありがとう。そのおかげでミスが減っているよ。ただ、仕事の時間は限られているから、今後は『特に重要な部分に絞って確認する』という視点も身につけていくと、さらに効率が上がると思うけど、どうかな?」

ポイント: 細かい気配りを承認しつつ、効率アップという前向きな提案として伝えます。

 

② 「誰にでもいい顔をする(社交的すぎる)」部下への伝え方


NG例:
「誰にでもいい顔をしていると、周りから舐められるぞ!」

OK例:
「〇〇さんは、誰にでも気さくに話しかけられるなんて素晴らしい個性だね。そのコミュニケーション能力はチームにとって大きな強みだよ。ただ、中には君のその優しさや社交性を利用しようとする人もいるかもしれないから、自分の身を守るためにも、時には毅然とした態度も必要になる場面があるかもしれない、と心に留めておくといいよ。」

ポイント: 社交性を肯定し、その上で自己防衛という建設的なアドバイスとして伝えます。

 

③ 「口数が少ない(じっくり考える)」部下への伝え方


NG例:
「もっと自分から積極的に話さないと、人には認めてもらえないよ!」

OK例:
「〇〇さんは、じっくりと言葉を選んで話すタイプだよね。その慎重さは、深い洞察力に繋がっていると思うよ。ただ、大事な会議や緊急時には、タイミングよく自分の意見を伝えることも求められる。だから、事前に話す内容を整理・準備しておくと、いざという時にスムーズに発言できるし、周りも〇〇さんの考えをより理解しやすくなると思うけど、どうだろう?」

ポイント: 慎重さを肯定し、タイミングの重要性を具体的な行動(準備)と結びつけて提案します。

 

④ 「直感で物事を決める」部下への伝え方


NG例:
「感覚で物事を決めるのは良くないよ!」

OK例:
「〇〇さんは、直感を大事にしたいと思っているんだよね。そのスピード感やひらめきは、新しいアイデアを生み出す上でとても価値があるよ。ただ、チームで動く場合や、より大きな決定をする際には、なぜその直感に至ったのかを論理的に説明できると、他のメンバーも納得しやすくなるし、より良い結果に繋がると思う。次は、その直感を裏付けるデータや根拠も一緒に検討してみようか。」

ポイント: 直感力を肯定し、その効果を最大化するための補足要素(論理的説明)を提案します。

 

なぜ「肯定ファースト」が重要なのか?


これらの例で共通しているのは、まず部下を肯定する言葉を最初に言うことです。


もし、感覚で物事を決める傾向のある部下に、


「なぜそう決めたのかを説明できると他の人も納得しやすいよ。直感を大事にしたいというのはいいんだけどね」


と、先にアドバイスを言い、その後に相手を認める話をしたらどうでしょう。


きっと部下は、あまり認められた感じはしないでしょう。


「結局、自分のやり方は否定されている」と感じてしまう可能性が高いのです。


言葉の順番一つで、部下の受け止め方は大きく変わります。


「まず相手を肯定する」という意識を持つことで、部下は安心してあなたの言葉に耳を傾け、前向きに改善策を検討してくれるようになるでしょう。


 

5.「伝わる話し方」は習得できるスキルです


本記事でご紹介した「部下を承認し、個性を尊重した話し方」は、一朝一夕で身につくものではありません。


しかし、これは決して特別な才能ではなく、誰もがトレーニングによって習得できるスキルです。


日本話し方センターのベーシックコースでは、今回お話しした「相手に受け入れられる話し方」を、講義と実践的なロールプレイングやフィードバックを通じて、体系的に身につけていただけます。




  • 部下との信頼関係を深めたい

  • チームの主体性を引き出したい

  • ハラスメントリスクを回避し、自信を持って指導したい

  • 自身のマネジメント能力を向上させたい


このようなお悩みを持つマネージャー層の方々が、当コースで「伝わる話し方」を習得し、目覚ましい成果を上げています。


無料体験教室」では、当コースの雰囲気や学び方を直接体験していただけます。


あなたの目で、話し方を変えることの可能性をぜひお確かめください!



6.まとめ


現代の上司にとって、部下とのコミュニケーションは、かつてないほど重要性を増しています。




  • 時代とともに変化した部下の価値観を理解する

  • 部下のありのままの姿を肯定的に「承認」する

  • 自分の価値観で「善し悪し」を判断せず、個性を尊重する

  • 「肯定ファースト」で、部下が前向きに受け止められる伝え方を実践する


これらのポイントを意識した「伝わる話し方」を習得することで、あなたは部下との間に強固な信頼関係を築き、チーム全体のパフォーマンスを最大限に引き出すことができるでしょう。


日本話し方センターは、あなたのリーダーシップの進化を全力でサポートいたします。


ぜひ一歩踏み出し、新しいコミュニケーションの扉を開いてみませんか?

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