日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2019年9月28日滑舌よく話す

先日、話し方教室のある受講生のスピーチを聞いて、私は混乱してしまいました。

その受講生は、スピーチの中で、「タクシーの運転手が言いました。降りますか?」と言いました。

声が小さくて聞き取りにくかったので、この部分までの話も、聞き取れないところを想像しながら聞いていました。

しかし、私が想像も交えて理解する限りでは、それまでの話では、彼はまだタクシーには乗っていないはずなのです。

「ん? もうタクシーに乗っていたのかな?」

人は話を聞きながら、その情景を頭の中で思い描きます。

私もその受講生の話を聞きながら、情景を頭の中で描いていたのですが、まだ乗っていないタクシーの運転手に「降りますか?」と言われたという話を聞いて、情景が描けなくなり、混乱してしまったのです。

さて、スピーチが終わってから講師がアドバイスをします。

そのやり取りを聞いていて、やっとわかりました。

この部分、運転手は「乗りますか?」と言ったそうです。

この受講生は滑舌が悪いため、聞き手には「乗りますか?」というセリフが「降りますか?」と聞こえてしまったのです。

日本人は、一般的に滑舌が悪い人が多いといわれています。

滑舌が悪い理由は主に2つです。

一つは、口をきちんと開いていないことです。

「あ」なら口をタテに大きく開く、「い」なら口の端をしっかりと引く。

口の形をきちんと作らないまま発音するので、歯切れが悪くあいまいな音になってしまいます。

話し方教室では、口をきちんと開けるように、「口の体操」を毎回やっています。

これを家でも毎日やっている人は、滑舌が格段によくなってきます。

滑舌が悪いもう一つの理由は、子音の発音が弱いことです。

日本語は母音が強いので、普通に発音すると子音がとても弱く聞こえます。

先に述べた「乗りますか?」が「降りますか?」と聞こえたのは、子音が弱くて聞き間違えた典型的な例です。

滑舌が悪い人の話を聞いている人は、はっきりと聞こえない部分は推測して埋めながら話を聞いています。

だから、すごく疲れます。

人に気持ちよく話を聞いてもらうために、滑舌をよくすることはとても大事なのです。

特にあがり症の人は口の開きや発音が曖昧な人が多いので要注意です。
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