日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年4月16日抜け漏れなく論拠を揃える

前回のブログでは、「主張 - 論拠 - 事実」という「タテの論理」を組み立てると、論理的な話ができる、ということを書きました。

そして、具体例として下記のものを示しました。

主張:社員向けにマナー研修を実施したい

論拠:取引先で社員の不適切な振る舞いが多い

事実:アンケートで3割の顧客が社員のマナーが悪いと指摘している

このつながりができていないと、聞き手は「本当にそうなの?」という反応になります。

しかし、このタテの論理ができていても、聞き手が納得しない場合があります。

どういう時でしょうか?



 

それは、聞き手が「それだけなの?」という反応を示す場合です。

上の例だと、聞き手が、

「マナー研修を実施すべきだというのはわかったけど、それだけで研修を実施していいのかな?」

と考える場合です。

研修実施の必要性はわかっても、それだけでは実施しよう、とはなりません。

例えば、研修にかかる費用は出せるのか、ということが解決されていないと納得はできませんね。

こうした論拠の漏れを事前に考えて、論拠や事実を必要なだけ準備しておくことが必要です。

例えば、こんな感じです。

主張:社員向けにマナー研修を実施したい

論拠1:取引先で社員の不適切な振る舞いが多い

事実1:アンケートで3割の顧客が社員のマナーが悪いと指摘している

論拠2:我が社は研修費用を負担できる

事実2:研修費用200万円は今期の教育予算で賄える

 

このように、論拠や事実を、聞き手が納得できるレベルまで揃えていくことが大切です。

この、もれなくダブりなく論拠を揃える考え方を「ヨコの論理」といいます。

この時に注意すべきことは、自分が納得レベルではなく、あくまで聞き手が納得するレベルまで揃えることです。

聞き手によって納得の仕方が異なります。

重要なポイントだけ抑えれば細かいことは気にしない人もいれば、幅広く色々なことを気にする人もいます。

聞き手の特徴に合わせて準備しておくことが大事です。

 

ところで、この必要な論拠を並べる時に、思いついたものを並べていたのではヌケモレがあるかも知れませんし、効率も良くありません。

そこで活用する概念が、フレームワークです。

この例の場合なら、

ヒト・モノ・カネ

が有効でしょう。

つまり、

ヒトは、社員に研修の必要があるか、集めることができるか

モノは、研修を行う場所などが確保できるか

カネは、研修を行う費用が賄えるか

ということが想定される論点にになります。

こうした論点に対する論拠を用意すれば、聞き手に納得してもらえる確率は高まります。

 

フレームワークというと、コンサルタントが使うような難しいものを思い浮かべるかも知れませんが、

結局は物事を考える時のモノサシなので、簡単なものでも威力を発揮します。

過去・現在・未来

小さいもの・大きいもの

外部・内部

5W1H など

他にないかな、と考える時に、こうしたことを思い浮かべて考えると、意外にヌケモレが防げます。

 

今回は、

何かを主張する場合は、相手が納得するだけ論拠を揃えること

その論拠はフレームワークを活用して考えること

について、お話しました。
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