日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年5月24日伝わる話にするために視覚の効果を活用しよう!

 

★視覚に訴える


皆さんは話をする際にどういうことに気をつけているでしょうか。話の内容、話すスピード、話す時間など、色々と気にせねばならないことがあります。しかし、多くの人が意識していないけれど重要な要素に「視覚を活用する」ということがあります。



話は具体的にした方が伝わりやすいものです。では、具体的な話とはどういうものなのでしょうか。日本話し方センターでは、具体的な話とは「聞き手の頭の中に話のイメージが浮かぶ話」とお伝えしています。つまり、聞いている話が頭の中で映像化できる話は具体的で分かりやすいのです。そうであれば、話をしながら視覚に訴えるものがあれば、より理解が容易になります。

ところで、この視覚に訴えるということがとても効果があることを実感したエピソードがありますので、ご紹介します。

★話を補う視覚物の活用例


私は、毎年7~8回、会議を効率的・効果的に進めるためのファシリテーション研修の講師を務めています。いきなり講義を一方的に行ったのでは研修の場が活性化されませんので、私は研修の前にグループで簡単に会話をしてもらって場を暖めることにしています。その際、以前は「15分でお願いします」と言葉だけで時間を伝えていました。そうすると、15分を超えて20分弱話すグループが少なからずありました。私も全員に話をして欲しいので、「はい、ここまで」と区切らず、全員が話し終わったのを確認してから講義に入っていました。しかし、ある時思いついて、スクリーンにタイマーで残り時間を表示してみました。


すると、すべてのグループが時間内に話を終えてくれたのです。それからは、グループ会話でタイマーを表示するようにしていますが、ほぼ毎回時間内に話を終えてもらっています。

★視覚物は理解を助ける


私はこの経験から、視覚に訴えるというのはすごく効果的だな、と改めて思いました。我々は聞いたことをすべて覚えていられません。研修でグループ会話を始める時、参加者は「どんなことを話そうか」と緊張しながら考えを巡らせているはずです。そんな状況で「15分でお願いします」と言われても、ほぼ記憶には残っていないでしょう。言葉というのは、常に流れていくものなので、余程印象的でないと記憶には残りません。でも、タイマーが表示されていると、時間を守らねば、ということが容易にイメージできます。

上の例は忘れないために視覚物を使いましたが、視覚物ははなしの理解を助けるためにも大いに効果を発揮します。それは先にも述べたように、話のイメージ化を助けるからです。日本話し方センターのベーシックコースでは「効果的な視覚物の使い方」という講義を行っています。上にご紹介した例のように、目に見えるものはとても強力です。それを話している最中にもうまく活用すれば、説得力は倍増します。例えば、写真やグラフ、本、新聞記事などを示すと聞き手はイメージしやすくなります。また、身振り手振りで大きさを示したり、喜びを表現するのもよいでしょう。話している要点をプロジェクターで映し出すことで、聞き手はメモを取りやすくなるという効果もあります。

人に何かを伝える際に、ぜひ視覚効果を利用する工夫をしてみてください。
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