日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年6月3日会議を活性化するために質問を活用しよう!

会議をオンラインで行うことが多くなると、沈黙が怖くなります。オンライン会議での沈黙はリアルの会議でシーンとしてしまう以上に間が抜けた感じがするのです。

先日、私が参加したオンラインミーティングは、発言がほとんどない、沈黙の時間が長いミーティングでした。その会議の司会者は、何とか盛り上げないといけない、会議らしくしないといけない、と思ったようで、途中から自分の意見を述べ始めました。それも長い時間一方的に。やがて、そのミーティングの議題を提案した人が同じように意見を言いはじめ、ほぼ司会者と提案者の二人のやり取りで会議が終わりました。



リアルの会議でも誰かが一方的に長い時間発言されると他の参加者は退屈してしまいます。オンライン会議では、リアル以上に参加者の意識が離れやすいので、長い時間話すのは好ましくありません。特に司会者がそれをやってしまうと、ますます他の人が発言できなくなってしまいます。

では、会議で沈黙が続いた場合、司会者はどうすればよいのでしょうか?
会議の司会者は基本的に、質問をしながら進めていくべきです。これは、リアルでもオンラインでも同様です。発言が少ない会議で、その沈黙を埋めようとして、提案の趣旨や自分の意見を長々と話す司会者を時々見かけます。しかし、その発言は沈黙を埋めることを目的にしていて、会議を有効なものにするということは考えていません。会議は参加者が発言することで成り立ちます。であれば、参加者の発言を促すような質問をすることが司会者の取るべき行動ということになります。

 

では、司会者はどういう質問をすればいいのでしょうか?
例えば、会議のテーマが「会社創立50周年記念に何をすべきか?」だったとします。この会議で、司会者がいきなり「何をすべきだと思いますか?」と質問したとしたらどうでしょう。多分、参加者は「う~ん」という顔をしてすぐに発言はしないでしょう。

その原因は、質問が抽象的すぎることにあります。「話をする」ということの基本は「具体的」です。どんな話をする場合でも、人は頭の中で具体的にイメージできて、はじめて話すことができます。上の質問は抽象度が高すぎて参加者の頭の中に具体的なイメージが浮かびません。なので発言ができないのです。従って、司会者は、何について話をすればいいか、具体的にイメージできるように質問をするべきなのです。

「50周年記念はお客様向け、社員向けのどちらで考えるべきでしょうか?」
「お客様向けの場合、どういうことをお客様にアピールすればよいでしょうか?」
「社員向けの場合、この記念行事などを通じて社員にどういうことを感じて欲しいでしょうか?」

これくらいの具体的な質問でスタートして、出てきた意見をもとにさらに論点を具体的にしていくと有意義な会議にすることができます。

「今の発言は既存のお客様を意識したものですが、対象に新規のお客様は入れなくてよいでしょうか?」
「50年続いていることを世間に幅広くアピールするということになりました。では、そのためには何をすればいいですか?」

もちろん司会者は会議の終わりには出てきた意見をまとめていく必要があります。その場合でも「では、今回の記念行事は既存のお客様に当社をより信頼いただくために行う、ということで宜しいですね?」と質問スタイルで確認するとよいでしょう。

質問は人の発想を広げたり意見を引き出す上で大きな威力を発揮します。ぜひ会議は質問で進めてください。
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