2023年9月28日「話が下手」と言われないためにやるべきこと
「この人、話が下手だなぁ」
人の話を聞いていて、このように思ったことは誰にでもあると思います。
下手だなぁ、と感じる話は聞いている人にかなりのストレスを与えます。
また、そうした話が長々と続くと聞き手はイライラしてしまい、人間関係にもよくない影響を与えてしまいます。
そこで今回は、人から「話が下手だなぁ」と思われてしまう話し方の改善方法について解説します。
★下手な話の種類
人から下手と思われてしまう話し方は、その特徴によって幾つかのタイプに分類できます。
◆何が言いたいか分からない
1つ目のタイプは、何が言いたいのか他の人に伝わらない人です。
例えば、会議などで発言を求められても、次のような感じになってしまいます。
議長「Mさん、この件についてどう思いますか?」
Mさん「はい、いいと思います」
議長「どういうところがいいと思いますか?」
Mさん「ん~、そうですね・・・全体的にいいと思います・・・」
何を話せばいいのかわからず、口ごもってしまうタイプの人です。
また、上司に取引先に訪問した報告をする際は、こんなやり取りになってしまいます。
Tさん「R商事さんを訪問してきました」
上司「ご苦労様。で、値上げには応じてもらえそうなの?」
Tさん「あ~、値上げには納得してもらえないかも知れません」
上司「ん? 先方にはちゃんと説明したんだろ?」
Tさん「ええ、最近の物価高など色々とお話したと思いますが」
上司「思いますがって、値上げの説明はしたの、していないの?」
Tさん「え~、先方もお忙しい感じで話をちゃんと聞いてもらったかどうか・・・」
こちらは話すことはありそうですが、要領を得ない話し方で、何が言いたいのかさっぱり分からない話をするタイプです。
これでは「話が下手だな」と思われても仕方ありません。
◆話が長い
2つ目は、話が長い人です。
話していることは分かるのですが、話が長いと聞いている人は「話が下手」と思ってしまいます。
例えば、同じ話を言い方を変えて繰り返し話す人がいます。
これは、話していて(自分の話がうまく伝わっていないな)と思い、何とか伝えようとして、同じ話を言い方を変えながら繰り返してしまうタイプの人です。
本人は一所懸命に話をしていますが、聞いている人は話が長くなればなるほど集中できなくなります。
その結果、「よくわからないなぁ・・・話が下手だなぁ」ということになってしまいます。
また、話しているうちに頭に次々に浮かんでくることをそのまま話す人がいます。
話し始めると、今話していることに関連することが頭に浮かんできます。
そして、(ああ、このことも面白いし、みんなに聞かせたいから言っておいた方がいいな)と話ながら判断して、話してしまいます。
話を聞いている人は、次々に話が飛ぶので「この人は、結局何が言いたいんだろう?」と疑問に思ってしまいます。
いつまでも終わらない話を聞きながら、『話が下手な人』という印象を持ってしまうのです。
◆聞きにくい話し方をする
そして3つ目の特徴は、聞きにくい話し方をする人です。
このタイプで最も一般的なものは『早口』です。
ベーシックコースや2日間集中コースの受講生も、最初に行う自己紹介では早口で話す人がとても多いです。
人は『話を聞く』という行為と『話を理解する』という行為を別々に行っています。
早口で語られる話は聞くことに集中せざるを得ないので、理解することがどうしてもおろそかになります。
そのうち聞くことにも疲れてきて「この人、話が下手だなぁ」と思ってしまいます。
また、抑揚のない、一本調子の話し方も聞きにくい話し方の一つです。
どんな場面でも、聞いている人を惹きつける話し方をしないと、話を最後まで聞いてもらうことはできません。
抑揚や『間』がある話は、聞いている人に絶えず刺激を与え続けるので、相手を飽きさせません。
これに対して、一本調子の話し方は話にインパクトがないので、聞いている人は次第に集中力を失っていきます。
その結果、「つまらない話だなぁ」などの印象を持たれてしまうのです。
★改善するためのポイント
ここまで「話が下手」と思われる話し方の特徴を述べてきました。
ここからは、それらを改善する方法について解説していきます。
◆自分で自分に問いかける
上記の『何が言いたいか分からない』人の中には、そもそも話すことが頭に浮かばないという人がいます。
これを改善するためには、自分で自分に質問をすることが効果的です。
先日、ベーシックコースを見学されたSさんに、終了後アンケートを書いてもらった際、このようなやり取りをしました。
Sさん「このアンケートに『感想などがあればご記入ください』ってありますよね。
私、こういうものに書くことがさっぱり頭に浮かばないんです」
私「そうなんですね。ではSさん、このアンケートの『楽しかった』にチェックを入れてもらってますよね」
Sさん「ええ、とても楽しく見学させてもらいました」
私「ありがとうございます。では、『何が』楽しかったのでしょうか?」
Sさん「ああ、受講生の方のスピーチがとてもお上手ですし、話も面白かったです」
私「Sさん、それを書いていただけばいいんですよ」
実際にSさんにその感想をご記入いただくことはしませんでした。
しかし、「話すことや書くことが頭に浮かばない」という人は、ご自身に『何が』や『どうして』などの問い掛けをしてみてください。
きっとSさんのように、話すことや書くことが浮かんでくるはずです。
話すことがすぐに思い浮かばないという人は、ぜひお試しください。
◆何を伝えたいか明確にする
また、『何が言いたいのか分からない』人には、そもそも何を伝えたいのか自分でもハッキリさせずに話し始める人がいます。
話す前に、話す内容を整理することはとても大切です。
「確かに、自分は何を伝えるか分からずに話しているなぁ」と思う人は、ぜひ事前に話すことを整理してみてください。
その際にお勧めの整理法があります。
『PREP法』がそれです。
PREP法では話を次の様に分けて整理します。
・主張(Point)~ 言いたいこと
・主張する理由(Reason)~ なぜそれを主張するのか
・理由を支える事実(Example)~ その理由は本当にそうか
・主張(Point)~ 最後に言いたいことを繰り返す
以下に、使い方の例を示します。
【主張】R商事は値上げに応じてもらえそうにない
【理由】社内での検討が進んでいないようだから
【事実】何度打診しても先方の課長が曖昧な返事しかしない
このように整理しておけば相手に、よくわからない、という印象を持たれることはなくなります。
上記の『主張』『理由』『事実』はそれぞれ20文字程度の短い文章で整理しておくとよいでしょう。
頭に入りやすいので、話していても忘れることがないからです。
ところで、この整理をしておけば、話すことが明確になるので、話が長くなることも防げます。
PREP法で話を構造化しておけば、相手に理解されやすいので、「この話し方で伝わっただろうか?」と不安に思って話を繰り返してしまうこともありません。
但し、話していて新たなことが頭に浮かぶ人は、相変わらずそれを話してしまう危険があるので、要注意です。
自分が話している間は相手の時間を奪っていることを肝に銘じて、伝えたいことを短く話すことを心がけてください。
◆自分の話を録音して聴く
早口で相手が聴き取りにくい話し方をする人、一本調子でつまらない話し方をする人も「話が下手」という印象を持たれてしまいます。
その改善方法として、自分の話を録音して聴きながら話し方を改善することをお勧めします。
人は誰でも自分の話す声や姿を見聞きすることは嫌なものです。
しかし、考えて見ると、自分以外の人は、その嫌だと思っている声や姿をいつも見聞きしています。
自分の実態を知らないのは自分だけなのです。
また、ゆっくり話そう、と意識してゆっくり話したつもりでも、聞いている人にはあまり変わっていないと思われることがよくあります。
つまり、自分のことは自分自身ではきちんと認識できないものなのです。
自分のことをきちんと認識するためには、自分を客観視することが必要です。
そのためには、自分の声を録音して確認することが効果的です。
自分の声を録音して、スピードや高さ、抑揚の付け方などをチェックします。
そして、「もっとゆっくり話そう」「少し声を高めにしよう」など、改善点を明確にして、それを意識しながら話します。
これを何度か繰り返すことで、話し方を変えていくことができます。
但し、自分一人の練習ではゆっくり話せても、人と話す際にはまた早口になってしまうこともあり得ます。
身に染みついたクセはそう簡単に変えることはできませんので、時間をかけて改善すれば、次第に人と話す際にもゆっくり話せるようになります。
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