日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年12月22日話の構成を考えてわかりやすい話にしよう!



★話がわかりにくいと言われる人は多い


皆さんは「あなたの話はわかりにくいね」や「結局、何が言いたいの?」などと言われた経験はありませんか? きっと多くの人がそういうことを言われたことがあると思います。私も社会人になってから幾度となくそういうことを言われてきました。また、日本話し方センターのベーシックコースを受講している人の多くが「あなたの話は分かりにくい」と言われています。これらのことを考え合わせると、世の中には実に多くの人が分かりにくい話をしているようです。


このように相手がわかりにくいと感じる話をしてしまう原因は、話の構成をきちんと考えずに話していることにあります。実は、話の構成を考えずに話してしまうことは私たちの日常の中でかなり頻繁に起きています。その結果として次の様な事象が見られます。





◎話が長くなる

話の構成を事前に考えていないと、考えながら話すことになるので、どうしても話がまとまらず、長くなります。話が長くなる理由は主に次の2つです。


1つ目は、余計なことを話してしまうからです。事前に話の構成を考えていないと、頭に浮かんだことをそのまま話してしまいます。その結果、伝えたいことと関係のないことでも頭に浮かぶとそのまま話してしまうので話が長くなります。更にそういう話をしてしまったことあと、話のつじつまを合わせるために、更に余計な話をしてしまう。これが続くと話している本人も何を伝えねばならないのか分からなくなってしまい、話が長くなるばかりでなく、収拾がつかなくなるのです。


2つ目は、同じことを繰り返して話してしまうからです。考えながら話していますので、話している内容を話している人も頭の中で吟味しています。すると「ん~、この話はこの言い方の方がいいかな」と考えて、同じ内容を少し違う言い方で話してしまうのです。これを繰り返されると、聞き手は「この人は何故同じことを何度も言うのだろう?」とだんだん話が聞けなくなります。この繰り返しは話し手、聞き手の双方にとって、とても勿体ない時間と言わざるを得ません。





◎相手が勘違いする

話の構成を考えずに話すと、話し手の意図が的確に伝わらず、聞き手が全く違う理解をしてしまうことがあります。例えば、上司が部下にある資料作成を指示したところ、数日経って部下が上司が意図したものとは違う資料を作成してきた、ということは日常の職場でありがちなことです。こうしたことの原因は、部下がきちんと理解できる指示の仕方を上司が事前に考えずに話したことにあります。話の責任は概ね話し手にあります。こうした伝わらない指示の仕方をした結果、部下は数日を無駄に過ごし、また同じような作業をやり直さねばなりません。このような状況では、職場の生産性を上げることは難しいと言わざるを得ません。





★わかりやすい話の構成


ここまで、話の構成を考えないことのデメリットを述べてきました。ここからはわかりやすい話の構成とはどういうものか、ということについて話を進めます。話の構成には幾つか種類があり、話をする場面によって適用すべきものは異なりますが、プレゼンや人前でのスピーチなどはストーリー性のある話にした方が分かりやすいし聞き手にインパクトを与えることができます。今回はこれらの話に適用できる話の構成を、朝礼などで行うスピーチの例を織り交ぜながらご紹介します。



◎事実を述べる ~ 聞き手と話し手の認識レベルを合わせる

まず、事実を話します。
スピーチ例を示すと、次の様になります。
・先日ゴルフに行き、ラウンド終了後、ゴルフバッグを係の人に預けて引き換えの札をもらった。
・着替えも終わってバッグを受け取って帰ろうとしたところ、引き換え札が見当たらない。
・きっともらった時にその場に置いてきてしまったんだろうと思い、そう説明して引き換え札なしでバッグをもらって帰った。
・ところが、家についてボストンバッグを開けると、その中に引き換え札が入っていた。
・その時、ロッカーに戻った時にスマホと一緒に札をボストンバッグの中に入れたことを思い出した。
・翌日、ゴルフ場に電話をして、札を簡易書留で送り返した


事実を述べる上で大切なことは、『聞き手の認識レベルを話し手と同じにして話が理解できるようにする』ということです。当然のことながら、話し手は話す内容を熟知していますが、聞き手は初めてその話を耳にします。従って、話し手は、話の内容を聞き手に理解してもらうために、話の背景や経緯を過不足なく伝えて、聞き手の話に対する認識を話し手と同じレベルにする必要があるのです。
しかし、実際は内容を熟知している話し手は、聞き手に伝えねばならない大切なことを省いて話すことがよくありますので注意が必要です。例えば、上の例で『翌日、ゴルフ場に電話をして、札を簡易書留で送り返した』ということを話さないと、聞き手は「結局、札はどうしたのかなぁ」ということが気になってしまい、話を中途半端にしか聞けなくなってしまいます。必要な情報は漏れなく話すことが肝要です。


また、話す順番にも留意が必要です。初めに『見たこと・聞いたこと』などの客観的な事実を述べ、その後に『自分が言ったこと・したこと』など、客観的な事実に対する自身の言動を話します。『見たこと・聞いたこと』を話すことでその場の情景が伝わり、『自分が言ったこと・したこと』でそのことに対する自身の感情が聞き手に伝わります。この順番で話すと、ストーリー性があるわかりやすい話になるのでお勧めです。





◎その時に感じたことや考えたことを述べる

次に、その時に感じたことや考えたことを話します。
これもスピーチ例を示しましょう。
・札がないことに気づいたとき、その場に置き忘れたと思い込まずに自分の身の回りを確認すべきだと思った


その時の気持ちを述べることで、自分の心の動きを聞き手に伝えることができ、聞き手は話に共感し、感情移入して聞くことができるのです。その時の気持ちや考えを話す、ということは多くの人がおろそかにしがちですが、聞き手の共感を得るためにはとても重要な要素です。また、ビジネストークでも、事実に対してどう思ったか、どう考えたか、などを述べることはとても大切です。事実だけを述べるのは単なる報告であり、その話に独自の価値を付加されていません。しかし、感じたことや考えを事実に加えて述べることで自分独自の『付加価値』を生み出すことができます。この点もぜひ留意いただきたいと思います。



◎今そのことを振り返って思っていることを述べる

最後に、そのことについて今思っていることを話します。
スピーチ例だと、このようなことを話します。
・今回のようなことがないように、ものが見当たらない場合は勝手な思い込みをせず、最低限身の回りの確認をするようにしている


この出来事について今思っていることを話すことで、聞き手に自分の人柄が伝わります。この例の最後の部分を聞いた人は、「この人はちょっとした失敗でも反省して自分の行動を改善しようとする真面目な人なんだな」という印象を持ってくれるでしょう。
また、この話で何が言いたいのかはこの最後の部分に表れます。上の例では『最低限の確認をしよう』ということがこのスピーチのテーマになります。話を分かりやすくする点でも、今振り返って思っていることをしっかりとまとめることはとても重要なのです。


今回はスピーチを例にして説明しましたが、今回ご紹介した話の構成は、プレゼンや面接など様々な場面での話し方に応用できます。話す前にしっかりと構成を考え、話すべき内容を整理して準備すれば、誰でもわかりやすい話ができる様になります。ぜひ実行なさってください。



ベーシックコースで話の構成力を磨きませんか?


日本話し方センターのベーシックコースでは、上に述べた話の構成をベースに、わかりやすい話にする力、伝わる話し方、人に好かれる話す態度など、多岐にわたる話し方のスキルを身につけていただいています。その効果は多くの受講生が実感されています。ぜひ受講者の声をご確認の上、ご受講ください!

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