日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年1月30日相手に伝わる話をする秘訣とは?

日本話し方センターは企業研修も行っています。先日、ある会社からコミュニケーション研修の依頼があり、私が講師を務めました。研修の終わりに研修の感想をグループで話し合ってもらい、全体に発表してもらいました。その発表の中で、こんな場面がありました。

「今日教えてもらった内容は本で読んだことがあったり、テレビで聞いたことがあったりしてどれも目新しいものはありませんでした」と、ここまで話した後、「あっ!すみません!!!違うんです! そういうことじゃなくて、知っていたことでも自分でやってみるとできていなかった、そのことに気付いたことが大きな学びだったということが言いたかったんです! すみません!!!」
発言した参加者は、かなり慌てて付け加えられました。



皆さんも、自分の話が勘違いされるそうになってあわてたという経験はあると思います。では、上の例ではどういう話し方をすればよかったのでしょうか?
そのキーワードが、「主題」です。

この例では話を始める前に「今日の研修では大きな気付きがありました」と話せばよかったのです。すると聞き手は「ああ、この人はポジティブな話をするんだな」と思い、その後に目新しい話はなかったと続けても発言の趣旨を誤解することはないでしょう。話し手も、誤解されると思うことなく自分のペースで話ができたと思います。この「今日の研修では大きな気付きがありました」のように、話の方向性を最初に話す。これが主題です。

主題とは、自分が言いたいことをまとめた短い文章です。主題を始めに言うことで、聞く人はどういう話をするのかがわかり相手の話を聞く準備ができます。相手の頭の中に話を受け入れる箱をつくることができるのです。そして、その箱をつくってから、具体的な話をすることで、聞き手は安心してその箱に話の内容を入れることができます。

ところで、ここまで読まれた方の中には、「なるほど、要は結論から先に言えということだな」と思われたかも知れません。しかし「主題」は結論よりも幅広い概念です。例えば、誰かに相談をする場合でも主題は大切です。
「ちょっといいですか。会社のルールが変わるので、この事務手続きも変えないといけないと思って担当部署に確認したんです。そしたら、その回答がよくわからないので別の人に聞いたところ~~」と状況の説明から話し始める人はとても多いです。しかし、この相談の仕方では聞いている人はずっと「だから何が聞きたいの?」と思いながら聞くことになります。聞きたいことを懸命に推測しながら聞いているので話に集中できません。

なので、話の最初に「誰に相談したらいいか分からないので教えて欲しいんです。」というように「主題」を言うようにしましょう。そうすることで聞き手はどういうことを答えればいいのか心の準備ができるので、安心して話を聞くことができます。

また、朝礼のスピーチなどでも、いきなり詳しい話を始める人もいます。
「この間、山陰地方に旅行に行きました。泊まった旅館は夕食はおいしかったのですが、部屋が今一つきれいではありませんでした。~」と延々と事実を話すことがあります。聞き手は「で、何が言いたいんだろう?」とずっと考えながら聞くので少なからずストレスを感じてしまいます。
この場合も「よく調べてから行動しよう、という話をします」と、話の方向性を示してから具体的な事実を話せば分かり易い話になるでしょう。

話は「相手ありき」です。相手が話を聞く準備ができるように心を配ることは、聞き手に分かり易い話をするためにとても重要なのです。

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