日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年4月24日人に聞いてもらえる、面白い話し方とは?

 

★面白い話がしたい


日本話し方センターのベーシックコースの受講生は、話し方やコミュニケーションに関する様々な課題を持って受講しています。
・あがり症を抑えて堂々と話がしたい
・上司や取引先から「何がいいたいのかわからない」と言われない話し方をしたい
・就職面接であがらずにわかりやすい話ができるようになりたい
・面白いと思ってもらえる話ができるようになりたい
今回はこのうちの「面白い話し方」について解説します。


なお、「面白い」という言葉には主に、
①興味をそそる、興味深い
②楽しい、愉快だ、可笑しい
という2つの意味があります。今回は①の相手に興味を持って聞いてもらえる話に絞ってお話します。



★面白くない話とは


ところで、人に興味を持ってもらえる面白い話し方の前に、人に聞いてもらえないつまらない話し方にはどういうものがあるかを考えてみましょう。人はネガティブな印象は結構後々まで記憶に残るものです。何度か面白くない話をしてしまうとその印象が残ってしまい、話す前から話を聞いてもらえなくなる可能性があります。なので、面白くない話し方はできるだけしないように気をつけることが必要です。



◆自慢話など自分の話ばかりする

面白くない話し方の筆頭は、自分の話ばかりすることです。自分の話をすることで聞き手が共感を覚えることができるなら、その話は面白いと思ってもらえるでしょう。しかし、自分の話ばかりしたがる人は大抵相手のことは考えずに、自分がしたい話をしています。相手が聞きたいかどうかは考えないので、面白くない話になってしまうことが多いのです。またそうした話は概して長くなるので、余計に相手には聞かれません。中でも特に注意すべきは「自慢話」です。人は誰でも自分が誇りに思っている出世話やエピソードなどを話したくて仕方がないものです。しかし、そうした話は他の人が最も聞きたくない話の一つなのです。こうした話し方はとにかく控えましょう。



◆抽象的な話をする

内容が抽象的な話も面白くない話になってしまいます。例えば「海外出張した際、空港で知っている人に会いました」といった話し方では、聞き手は「どこに行ったの? いつ頃の話? 知っている人ってどういう人?」と疑問だけが浮かんでさっぱり話が理解できません。日本話し方センターでは、具体的な話とは「頭の中にイメージが浮かぶ話」と伝えています。先の例のような話し方では、聞き手は頭の中にイメージは浮かばないのです。


ところで、この例を見て「いやいや、私はそんな話し方はしないよ」と思った方もいると思います。しかし、私たちは普段、具体的な話をしているようでもかなり抽象的な話をしていることが驚くほど多いのです。それは自分の頭の中には具体的なイメージがあるのですが、それをきちんと言葉にせずに端折って話をしてしまうからです。どこまで詳しく話をすれば聴き手の頭にイメージが描けるかを意識して話すことが大事なのです。


これらの面白くない話し方をしていると、他の人に「この人の話は面白くない」という先入観ができてしまうので、ぜひ気をつけてください。



 

★面白い話とは


では、聞き手に興味を持って聞いてもらえる話し方とはどのようなものでしょうか。そのポイントを2つご紹介します。



◆相手の興味を引く話題(ネタ)を話す

ポイントの1つ目は、相手の興味を引く話をすることです。話は何と言っても話題(ネタ)が命です。話の内容に興味が持てると聞き手は聞こうとします。それでは、どのような話だと聞き手は興味を示すのでしょうか。



◎知識欲を満たす話

1つ目は、相手の知識欲を満たす話です。
例えば、「元旦と元日の違いをご存じですか?」と切り出して相手の興味を引いた後、「『元旦』は1月1日の朝のみのことを言います。一方『元日』は1月1日のまる1日をさします」と話をすると、聞き手は「なるほど~、知らなかったなぁ」とあなたの話に聞き耳を立てることでしょう。こうした話ができれば、あなたのことを面白い話をする人と思ってもらうことができます。



◎珍しい話

2つ目は、珍しい話です。
先日、日本話し方センターのベーシックコースのスピーチ実習で受講生がこのような話をしてくれました。
「この間、京都に旅行に行って財布を落としてしまいました。警察に届けましたが見つかったという連絡はなくそのまま東京に戻りました。ところが、数ヶ月が過ぎたころ、財布が見つかったという連絡が警察から来ました。警察署に行ってみると確かに自分の財布でした。しかし財布を開けてみると、どうも妙なのです。落としたときは1万数千円しか入れていなかったはずなのですが、その財布には3万数千円入っていたのです。また、自分が持っていたクレジットカードなどは入っていませんでした。どうも、財布を拾った人が気に入ったのか、そのまま財布を使っていたようなのですが、それをまた落としたらしいのです。警察にその旨伝えましたが『まぁ、いいんじゃないですか』ということだったので、現金はそのままもらいました。私は今もその財布を使っています」


いかがでしょうか?
「へ~、そんなことがあるんだ!」と思われたのではないでしょうか。こうした珍しい話は確実に聞き手に興味を持って聞いてもらえます。



◎聞き手のメリットになる話

3つ目は、聞き手のメリットになる話です。
朝礼のスピーチは、できれば避けたいと思う人が多いですよね。そうした時に次のような話をすれば、他の人は興味を持って聞いてくれるでしょう。
「朝礼のスピーチは緊張してしまうという人が多いと思います。そうした時には、スピーチの前にゆっくりと深呼吸を繰り返すと落ち着くことができます。ポイントは、息を素早く吸って、できるだけ長い時間ゆっくりと吐く、ということです。私はこれを行うことでかなり落ち着いて話すことができるようになりました」


このように聞き手に有益な話をすると、真剣に聞き耳を立ててくれることでしょう。



◆具体的に話をする

面白い話をするポイントの2つ目は、具体的に話す、ということです。
上に述べたような、聞き手の興味を引くような話をしたとしても、その話が抽象的だと面白い話し方にはなりません。面白いと思ってもらうには、具体的に話す必要があります。


例えば、先に述べた「海外出張した際、空港で知っている人に会いました」という抽象的な話を次のように話すとどうでしょうか。
「5年前、インドネシアのジャカルタに出張し、帰国するために空港で時間待ちをしていた時のことです。同僚と世間話をしている中で『そういえばこの間退職したC君、元気にしてるかなぁ。彼、外資系の証券会社に転職したんだよなぁ』」という話が出ました。しばらくして私がトイレに行こうと通路を歩いていると、何と今さっき話題にしていたC君が前から歩いてくるではありませんか。とてもビックリしました。C君もたまたま出張でジャカルタに来ていたのです」


どうでしょうか。目の前に話の情景が浮かんできたのではないでしょうか。このように頭の中にイメージができるくらい具体的に話すことで、話はグッと面白くなるのです。




★面白い話をするためには


さて、それではどのようにすれば、上に述べたような面白い話し方ができるのでしょうか。知識欲を満たす話や珍しい話などはいきなりできるわけではありません。話し方はスキルなので、それなりのトレーニングや準備が必要です。そのために意識すべきポイントを、以下に3つ解説します。



◆日頃から話題(ネタ)を集める

1つ目は、日頃から話のネタを集める、ということです。
珍しい話でご紹介した財布をなくしたというスピーチを聞いた時、私は即座にメモを取りました。また、具体的に話す例話としてご紹介した空港での話は、私が実際に体験したことで、これも話のネタとしてメモしてあります。面白い話をするためには、日頃からアンテナを立てておいて「これは使える!」と思ったネタをストックしておくことが絶対に必要です。私たちは日常の中で、面白いネタにたくさん接しているのですが、意識していないためにそのほとんどをキャッチせずにスルーしてしまっています。これはとても勿体ないことです。ぜひアンテナを張って面白いネタを集めるようにしてください。



◆話の構成を工夫する

2つ目のポイントは、話の構成を工夫する、ということです。
この例として、やはりベーシックコースの受講生のスピーチをご紹介します。
「私は雨男で、旅行に行くたびに雨に降られたり台風が来たりします。去年の冬、長崎に旅行に行った時も『雨よ降るな!!!』と祈りました。そしたら雨は降らずに済んだんです!」と言ってからしばらく黙った後、「雪だったんです・・・」


とてもインパクトのある話し方でした。
同じ話でも「雨男の私が去年、長崎に行った時は雨は降っていませんでしたが、その代わりに雪でした」という話し方をしたら、面白さもインパクトも全くない話になっていたでしょう。このように、聞き手にインパクトを与える構成に工夫すると、話は圧倒的に面白いものに変わります。


そしてこの構成の工夫の仕方も、常日頃からアンテナを張っておいて、これは!というものをストックしていく必要があります。



◆場数を踏む

3つ目は、場数を踏む、ということです。
先にも述べたように、話し方はスキルです。上達するためにはトレーニングが欠かせません。しかし、トレーニングを続ければ誰でも上達するのも話し方なのです。事実、ベーシックコースの受講生は、人の前に立って何度もスピーチをしているうちに、話し方が確実に上達しています。スキルは場数を踏むことによって身についていくのです。面白い話し方も、話のネタを集め、構成を工夫して、実際に人に話すことを繰り返していくうちに少しずつ身についていきます。ぜひ積極的に場数を踏んでください。



ベーシックコースで面白い話し方を磨きましょう!


いかがでしょうか?
面白い話し方をするためのポイントはまだまだありますが、今回はその主なものに絞ってお話しました。とろこで、日本話し方センターのベーシックコースは、3ヶ月かけて話し方のトレーニングをしていただくコースです。その間、絶えず話し方について知識を吸収し、話のネタを集め、構成を考え、人前で話をしていただきます。面白い話し方上達に関する知識やアドバイスも受けていただくことができます。ぜひ受講をご検討ください!

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