2024年10月9日部下に受け入れられる上司の話し方とは?
1.上司の話し方が問われる時代
日本話し方センターのベーシックコースは、会社などのマネジャー層の方が多く参加されています。
そうしたマネジャー層の人から、
「部下にどのように話したら伝わるのか、気を使って話すことが多い」
という話をよく聞きます。
確かに、昭和や平成の初期には、上司は偉いから言うことを絶対に聞かねばならないという共通認識が、上司にも部下にもありました。
従って、上司は「何やってんだ!バカヤロウ!」と部下を怒鳴って叱りつけることもでき、部下はそれを受け入れていました。
しかし、現代の部下は「上司は偉い」という認識はほとんど持っていません。
それに従って、上司の部下に対する話し方も、その認識の変化に応じたものにせねばなりません。
つまり、上司話し方が問われる時代になっているのです。
では、今、上司が部下に話をする際に大切なことは何でしょうか?

2.部下のことを認める
その大前提として、上司は部下のありのままの姿を肯定的に認める、受け入れるということが肝要です。
話は相手に共感してもらうことで、聞いてもらいやすくなるし、伝わりやすくなります。
自分のことを認めてくれない、受け入れてくれない相手の話は、誰しも共感できないし、そもそも真剣に聞こうとはしないでしょう。
従って、上司は部下のことを否定的に見るのではなく、肯定的に認めることが何よりも必要なのです。
そして、それを言葉にして部下に届けることが重要です。
人には、それぞれの個性や特徴があり、得意・不得意があります。
話をする場合は、その個性や特徴・能力が、組織や環境、状況に合っているかどうか、という視点を持つべきです。
そうすれば、指導やアドバイスなど耳に痛い話をする時でも、部下に受け入れられる話し方ができるでしょう。
3.善し悪しで判断しない
ところで、部下のことを認める、肯定的に受け入れる上で、注意すべきことがあります。
それは、自分の価値観で相手の善し悪しを判断しない、ということです。
先に述べたように、人には色々な個性があります。
- 細かいことが気になる人と気にならない人
- 社交的な人と人に話しかけるのが苦手な人
- 言葉数が多い人と少ない人
- 直感で判断する人と論理で判断する人 など
これらの個性は、どれが良くてどれが悪い、ということはありません。
しかし、私たちは日常、この個性の違いを、自分の価値観に照らし合わせて、善し悪しで話してしまうことがよくあります。
- 「そんな細かいことまで気にするから仕事が遅いのよ」
- 「誰にでもいい顔をしていると舐められるぞ」
- 「もっと自分から積極的に話をしないと人には認めてもらえないよ」
- 「感覚で物事を決めるのは良くないよ」
こういう言い方をされると、部下は、自分を否定されていると感じてしまいます。
そして、萎縮してしまったり上司を避けたりするようになります。

4.部下の個性を尊重する
従って、先に述べたように、部下の個性も含めたありのままの姿を肯定的に受け入れ、それを言葉にすれば、相手の受け止め方も違ったものになるでしょう。
- 「細かいことまで気にするから仕事が遅い」と決めつけるのではなく、
「いつも細かい所まで気を配ってくれてありがとう。
でも、仕事の時間は限られているから、重要なものに絞ることを身につければ更に良くなると思うけど、どうかな?」
と話しましょう。 - 「誰にでもいい顔をするな」と叱るのではなく、
「誰にでも気さくに話しかけられるなんてすごいね。
でも、君のその性格を利用する人もいるかも知れないから注意してね」
と、アドバイスする理由もきちんと話しましょう。 - 「自分から積極的に話しかけろ」と命令するのではなく、
「じっくり言葉を選んで話すタイプだよね。
でも、大事なところではタイミングよく話さないといけないから話すことを準備しておいた方がいいよ」
と、部下が納得できるように丁寧に話しましょう。 - 「感覚で物事を決めるな」と結論だけ言うのではなく、
「直感を大事にしたいと思っているんだよね。
でも、なぜそう決めたのかを説明できると他の人も納得しやすいよ」
と自分の考えもきちんと伝えましょう。
これらの重要なポイントは、まず部下を肯定する言葉を始めに言うことです。
例えば、感覚で物事を決める傾向のある部下に、
「なぜそう決めたのかを説明できると他の人も納得しやすいよ。
直感を大事にしたいというのはいいんだけどね」
と、先にアドバイスを言い、その後に相手を認める話をしたらどうでしょう。
きっと部下は、余り認められた感じはしないと思います。
まず相手を肯定する言葉を言うことを意識してください。

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