日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2024年11月17日話し方上達のために人の話を聞こう


1.話すことは考えること


一昨日と昨日、日本話し方センターの2日間集中セミナーを開催しました。


参加された皆さんは、とても積極的に課題に取り組まれ、最後のスピーチではあがっている様子もなく、堂々と分かり易い話をされていました。



人前でスピーチをすることは、話し方を上達させる上で、とても効果的な訓練方法です。


何度も練習しながら人前で話すことを繰り返すことで、人前で話す恐怖心が薄らいでいきます。

また、その過程で説得力のある話し方も身についていきます。

例えば、昨日の参加者は次の様なことに気付いていただきました。

  • 小さな声しか出せず、よく相手に聞き返されていたが、大きくて張りのある声で話せるようになった

  • プレゼンなどの準備は原稿を作るのみだったが、それでは準備になっていないことを痛感した

  • 気持ちを乗せて話すことの大切さとそのコツがわかった


その中で、「人の話を聞くことが重要だということに気付いた」という人がいました。


スピーチ実習では、自分がスピーチするだけでなく、他の受講生のスピーチも聞きます。


それを聞いていると、




  • 「この人、前のスピーチとは見違えるくらい、表情豊かに話しているなぁ」

  • 「この人は言葉の選び方が本当に上手だなぁ」

  • 「あれ? この人は早口だったのが、とてもゆっくり話すようになったぞ。かなり練習したんだなぁ」


など、色々と気付きや学びが得られます。

この参加者はそのことに気付かれたのです。

 

私たちの話し方教室には、「話すことは考えること」という言葉があります。

人のスピーチを聞き、その話について色々と考えることも、話し上手になるためにはとても効果的な訓練です。

人の話を聞くことで疑似体験ができますし、話を聞いて考えることで、自分の意見を持つ訓練にもなります。

昨日のセミナーのように、私たちの話し方教室では、受講生の様々なスピーチを聞いて考えることが出来ます。

以下に2つほど、その例を示します。


2.話を聞いて考える例①


先日、受講生のHさんが次のようなスピーチをしました。


ある日実家に帰ると弟がいた。


弟とはあることがあってから気まずくなり、十数年、口をきいていなかった。


私は常々、その状態が良くないと思い、改善するきっかけを探っていた。


ベーシックコースで『あいさつの大切さ』の講義を聞いていた私は、思い切って弟に「おはよう、元気?」と話しかけてみた。


すると、弟はビックリしながらも「う、うん。おはよう、兄貴は元気?」と返事を返してくれた。


それから「今どうしてるの?」などとお互いに近況を報告し合い、会話が続いた。


そして、最後には、「じゃあ、今度久しぶりに飲みに行こうか」という話になった。


 

私はこの話を聞いて、次のように考えました。




  • 仲が良くなかった人との関係が修復するという経験は中々できるものではない。とても良い話を聞いた。

  • 勇気を出して話してみると、わだかまりがあっさり取れることもある。

  • あいさつは、話しにくい人と話すきっかけも作る、本当に大切なものだ。


 

3.話を聞いて考える例②


また、別の日にIさんはこんなスピーチをしました。


会社の帰りに乗った電車に車いすに乗った若い男性がいた。


暫くしてその人の降りる駅に着いたら、電車の扉の向こうに駅員さんが車いす乗降用の板を持って待っていた。


私は、車いすの男性が電車を降りる時に、


男の人「ありがとうございます」


駅員さん「はい、どうぞ」


という会話が交わされるのかな、と勝手に予想した。


しかし、実際の会話は


駅員さん「お帰りなさい!」


男の人「ただいま!」だった。


二人とも元気のいいあいさつだったので余計に印象に残った。


私は二人の関係を『助ける人・助けられる人』ととらえていたが、彼らはこの地域に一緒に住んでいて『役割分担が違う人』ととらえているのだと、その時感じた。


これもとても良いお話です。私が考えたことは次の通りです。




  • この駅員さんの振る舞いは、電車を利用する全ての人をリスペクトしているように感じさせる、素晴らしいものだ。

  • 元気のいいあいさつは、その場を活気のあるものにする。

  • この例を元に考えると、会社の上司と部下も『指示する人・指示される人』という関係ではなく、それぞれの責任と権限に基づいて、役割を分担している関係ととらえることができる。



4.人の話を聞いて考え、話のネタを増やそう


私たちの日常生活の中で、人の話を聞く機会は様々にあります。


それらの話を積極的に聞き、自分の中にストックしていくことで話のネタが増えていきます。


また、その話について様々な切り口で考えることで、自分の意見を持ちやすくなります。


これを習慣にできれば、どんな場面でも話ができるようになっていきます。


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、話の材料の集め方をはじめ、話し方やコミュニケーションに関して幅広くご指導しています。


その成果は多くの受講生が実感されています。


ぜひ「受講者の声」をご確認の上、ご受講ください!

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