私はある時、友人から「会話に心がない」と言われてショックを受け、「日本話し方センター」の門を叩きました。
それまでの私は、知り合いに道で会えば必ず挨拶をし、世間話をして、人とのコミュニケーションや会話はうまく出来ていると思っていました。
自分が今まで正しいと思ってしていた会話は何だったのだろうと悩み、ベーシックコースの体験授業に参加しました。
先生の講義は心に響いてくる内容で、話し方を通じて人との生き方を説いていらっしゃいました。
また、そこで学ばれている方々は皆さん真剣な表情で、一所懸命に先生の講義を聞いていました。
お一人、お一人の「自分を変えたい」という前向きな固い決意を感じ、自分も学びたいと思い、その場で申し込みをしました。

教室で「ことばの前に心がある」ということを学びました。
今までの私は、相手の気持ちなど考えず、自分のことばかり話し、さらに悪いことには、相手に不愉快な気持ちにさせていたことに気づかずにいたのです。
今まで周りの人に何と失礼なことをしてきたのだろうと反省しました。同時に目の前が明るく開けたような気がいたしました。
それからは、自分の話をしたいと思う気持ちをグッとこらえ、相手の心に寄り添うように心を傾けて真剣に話を聴くことに力を注ぎました。
会社で今まで何となく近寄りがたかったMさんに話しかけよう。
話を聴こうと考え、ある朝思い切って「Mさん、おはよう」と声をかけました。「おはよう」と顔もあげずに彼女は答え、今まででしたら会話はそこで終わっていたでしょう。
でも今の私は違います。ひるまずに話しかけました。
「この間から、咳がでてつらそうだけど病院に行ってみた?」
「ウン、行ったよ・・・」
何となく警戒されているようでした。でもめげずに
「病院に行ったの・・・よかった。でも病院って混んでいて待っている時間も長いから大変だったでしょ」
「そうなのよ・・・待っている間に具合が悪くなりそうなくらいよ・・・でもね、順番が来て診察してもらった先生がすごく親身に話を聴いてくれて、安心したわ・・・喘息だけど、軽いからちゃんとクスリを飲んで気をつけて生活していれば、日常生活に問題はないって。心配してくれていたんだ。ありがとう」

“ありがとう”なんと気持ちのよい言葉でしょう。
相手の気持ちになって言葉をかけ、真剣に聴いただけで、相手からも喜ばれ感謝の言葉までもらい、お互いに幸せな気持ちになれました。
創業者江川ひろし氏は「ことばの前に心あり、ことばの後に行動あり」ということをモットーにしていたとお聞きしました。
常に話をする相手の気持ちを考えて、相手の立場になって話し、相手の心に寄り添い心を傾けて話を聴くことが大切だと気がつきました。
また、人は生きていく上で話すことは切り離す事ができません。
「話すことは生きることなのだ」と自分なりに理解しました。