元マッキンゼーの著名なコンサルタントである大前研一さんの言葉に、「私の経験では、ほとんどの場合、5割以上のウエートを持っている原因は一つだけ存在する。たくさん問題がありそうに思えても、1つの原因が現象としていろいろな形で問題として出てくるだけなのだ」というものがあります。私は、この言葉に、なるほど、と思うと同時に、これは話し方の改善にも当てはまるな、と考えました。

日本話し方センターのベーシックコースの受講生には、1つのことが改善できたのをきっかけに他の面もどんどん良くなっていく人がたくさんいるのです。話し方改善の近道はまず1つのことを確実に改善することなのです。
受講生のUさんは、講師から何よりもまず大きな声で話すようアドバイスを受けました。真面目なUさんは家では大きな声が出ないので、カラオケボックスに行って思い切って怒鳴るような感じで大声を出してみました。自分の声を録音して聞いてみると、自分の納得できる大きさの声が出せていました。その直後の教室で練習した通りの大きな声でスピーチをすると、講師から「すごく大きな声になったね!とても説得力がある素晴らしいスピーチでしたよ!」と誉めてもらえました。自分でもその声の大きさ、声の勢いの強さが実感できたそうです。それが自信につながり、心に余裕ができました。そして、その余裕が表情に表れて、自信に満ちた笑顔が出るようになりました。そうなると、自分の話を自分で聞ける余裕も生まれてきます。ここはこの表現の方がいい、全体的にもっとゆっくり話した方がいい、などと次々に自分で改善できるようになりました。Uさんは、コースを修了されるときには自信に満ちた堂々としたお話をされるようになりました。
また、Sさんは教室のスピーチで、お酒を飲み過ぎてカバンをなくしてしまった、もう今後はお酒は飲まないと決めた、という話をしました。この話の冒頭に「もうお酒はやめた、という話をします」と普通に話したのを聞いた講師が、「そこは感情を込めて話してみてください」とアドバイスしました。Sさんはアドバイスを素直に受け止め「もう、お酒はやめた!!!」と、もう金輪際飲まないぞ!という感じで勢いよく話されました。とても気持ちが乗った話し方で、聞いていて心に響きました。それ以降、Sさんは話に感情が出せるようになり、少し引っ込み思案だった話し方が勢いがあり力強いものになりました。それまでは少し硬い表情でぎこちない感じだったのですが、笑顔も出るようになりました。
Uさんは大きな声で話す、Sさんは気持ちを乗せて話す、という1つのことが改善されることで他のことも改善できるようになりました。話が苦手という人は、過去の失敗体験が話し方上達の大きな障害になっていることが多いようです。しかし、逆に1つのことを改善した! 克服できた! という実感があると苦手意識が薄れて他の面も改善されていきます。そうした成功体験を重ねていくことで、苦手意識がどんどんなくなっていくのです。
日本話し方センターのベーシックコースでは、受講生の状況に応じてまず1つのことを改善し、その後、更によくなるためのアドバイスをステップを重ねてお伝えしています。その成果は多くの受講生が実感されています。ぜひ「受講生の声」でご確認ください!