日本話し方センターの受講生には「上司からよく、何が言いたいのか分からないと言われる」「自分が言いたいことが上手く話せない」という悩みを持っている人が多数いらっしゃいます。こうしたことを上司やお取引先の方から言われたことがある人も多いのではないでしょう。相手が理解できる話をするノウハウやポイントは幾つかあります。今回はその中の一つ「キーワードを意識する」ということについて述べます。

キーワードというと、「絆」や「生産性向上」「責任と権限」というように、単語を並べたものを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、私がここでいうキーワードとは主語と述語でできた20文字程度の短い文章です。
「既存先の営業に力を入れるべきだ」
「ネガティブな発言はやめよう」
「誰に相談すればいいか教えて欲しい」
このようなものがキーワードです。
では、なぜこのキーワードが大切なのでしょうか。それは、人は話し手が言いたいことを短い文章にして理解し、記憶するからです。
例えば、日常でもビジネスでも、人の話を聞いている時に、「ああ、つまり、今度の同窓会で私に幹事をして欲しい、ということね」「あなたが言いたいのは、今のやり方では成果は出ない、ということかな」というように、話し手の言いたいことをまとめる発言をすることがあります。これは、人が話を短い文章で理解し、記憶しようとすることのわかりやすい例です。長い文章は、理解しにくいし覚えられません。だから、話を理解し、どういうことを言ったのかということを記憶するには短い文章が必要なのです。「あの人、何を話したかったのか、結局わからなかった。」という経験は誰にでもあると思います。その多くの原因は話の中でキーワードがつかめなかったということにあるのです。
しかし、話を聞いている人に「つまり、~」と要約させるのはいかにも不誠実です。聞き手に、その分、余計な負担をかけているからです。長い文章を解釈しながら言いたいことをつかむのはかなり能力を使う作業です。それを聞き手に強いるような話は、わかりにくいと評価されても仕方ありません。従って、話し手が自分の話の中に言いたいことをキーワードにまとめて話せば聞き手の負担は減ります。その結果、わかりやすい話だなと思ってもらえるのです。
では、短いキーワードを入れればそれでいいのかというと、もちろんそんなことはありません。言いたいことを理解してもらうのに必要な理由や背景、事情などはきちんと話をしなければなりません。人は、話を聞いているときは頭の中にイメージを描きながら聞いています。そのイメージが描けてはじめて話が理解できます。なので、具体的なイメージを描くために必要な要素を話すことはとても重要です。話をきちんと納得してもらった上で、その話を理解し、記憶してもらうときにキーワードが登場します。
キーワードを事前に準備して、それに沿った話をすれば、きっと「よくわかったよ」と言ってもらえるでしょう。
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