日本話し方センターのベーシックコースを受講されているほとんどの方は「苦手なことを克服したい」という思いで参加しているので、取り組み姿勢がとても積極的です。自宅でスピーチを作成して声に出して練習してコースに参加されると、以前とは見違えるほど堂々と分かりやすい話ができるようになります。
ところでそうした熱心な受講生の一人であるCさんに、先日スタートしたコースの2回目の講義が終わった後感想を聞きました。すると、次のような返事が返ってきました。「声も小さいし、人前で緊張してしまうので全然ダメですね。もっと練習しないといけませんね」Cさんはとても真面目な人で心から「話し方を改善したい!」と思っている人です。講義や実習の合間に講師や指導員に質問する姿をたびたび見かけています。しかしながら、このCさんの言葉を聞いて私は「もったいないなぁ」と思ってしまいました。

おそらくCさんは自分で「このように話したい」という理想像を明確に頭に描いていると思います。そしてその理想像と比べて「あれができていない」「これもできていない」と思っているのでしょう。習い事をしたりトレーニングをしたりしている人にはこのような考え方をする人はとても多いように感じています。従ってCさんが特別な訳ではありませんが、自分のできていないところばかり意識しているといつまで経っても上達している自分を自覚することができません。そうすると、できないところばかり意識し続け、次第に自分が嫌になり、やがて練習しなくなってしまうでしょう。
では、Cさんはどこに目を向けるべきなのでしょうか。それは「自分ができるようになったところ」です。「できるようなったところなんてあるんですか?自分では全然気付けないですが」と言う受講生もいます。しかしそれは本人が気付いていないだけです。昨日はできなかったが今日はできているということが必ずあります。まずそれを見つけることが大切です。
先日のCさんは、全員の前で自己紹介をした時、大きな声で、聞き手の方を見て、「え~、あの~」という言葉ぐせもほとんど言わずに話をしました。これらは事前に何度か声に出して練習してから話をした成果です。多分ご本人は人前での自己紹介に一所懸命で何ができたのか分からなかったかも知れません。その場合は講師や指導員に良かった点を聞けばよいのです。必ず2つや3つの良かった点は教えてくれます。こうして自分ができていることをきちんと認識すべきなのです。そして「よし、ここまでできた!」と自覚してから次の課題に取り組むのです。
話し方は単にコースに通っているだけでいきなり上手くなることは絶対にありません。練習を繰り返して一つひとつの課題をクリアしながら少しずつできることが増えていきます。そうしたプロセスを経て段々と上手くなっていくのです。そのステップを意識するためには、何よりもまず自分が今日できたことを強く心に刻まねばなりません。
現在の自分とかけ離れた理想像と比べて落胆するよりも、昨日の自分と今日の自分を比べて成長を実感した方がはるかに前向きですし、価値のある行為です。私はこうした前向きなものの見方は、話し方に限らず何かを身につけようとするときにはとても大切なものだと思っています。
日本話し方センターのベーシックコースでは、講師ができるようになったところを適切に伝え、次のステップとしての課題とその克服の仕方を具体的にアドバイスしています。ぜひ無料体験にお越しください!