日本話し方センターのベーシックコースでは、全12回の2回目に受講生に自己紹介をしてもらっています。1分間または1分半の自己紹介をしてもらい、それをビデオに録画してその場で見てもらうのです。ご自身の話す姿を確認してもらい、今後の改善すべき課題を自覚してもらうために行っています。話し方も含めて、何かのスキルを身につけようとした場合、大切なことは自分が今どういう状況にあるのかきちんと把握することです。現状の立ち位置を確認することで課題も明らかになってきます。こういう考えから、コースの始めの段階でご自身の話す姿を見てもらっています。

スピーチしている自分の姿をみた受講生は「『え~』がこんなに多いとは!」「早口という自覚はあったけど、こんなに聞き苦しい話し方だとは思わなかった」など、自分ができていないことを改めて認識した、という感想を口にされます。しかし、一方で「緊張したけど、思っていたほど声は震えていなかった」「自分が感じているほどあがっているようには見えなかった」「思ったより大きい声で話せていた」など、自分が思っているほど悪い話し方ではなかったという感想も聞かれます。
自分で感じている内面と他の人から見える外面は違うということなのです。
話し方教室の講義では「あがりを克服するスキル」というテーマで、あがりを抑えて話すポイントを6つ解説しています。そのポイントの一つとして、自意識過剰にならないというものがあります。聞き手は話し手のスピーチ原稿を手にして一字一句、間違いないかチェックしながら聞いている訳ではありません。それどころか、話し手の方を見ているけど、頭の中では「今日の晩ご飯は何を食べようかな」「この人、盛んに体が揺れていて落ち着きないな、いつもこんな感じなのかな」などと別のことを考えていることが多いのです。
言い方は悪いかも知れませんが、話し手が思っているほど聞き手は真面目に話を聞いているわけではないのです。だから、少し言い間違えたり、違ったことを言ったりしたくらいで、しまった!などと思う必要は全くありません。そういうことがあっても、リラックスしてスピーチしてください、ということがこのポイントの趣旨です。
しかし、上に書いたこととは反対の意味での自意識過剰があります。それは、自分が思っているほどひどい話し方をしているわけでない、という受講生の感想にあるように、自分の話し方はあがっていてみっともない、恥ずかしい、などと過剰に思い込む必要はないのです。実際、「自分は話がヘタだ」「話している姿がみっともない」と、自分を過小評価している受講生は少なくないのです。聞き手はそれほど真剣に私の話を聞いているわけではないし、私の話している様子は自分が思っているほど悪くない。そう思えば少しリラックスして話せるのではないでしょうか。
スピーチや話し方に限らず、苦手意識のある分野はどうしても厳しい自己評価をしがちです。しかし「そんなに悪くない」と思えば、改善意欲、成長意欲も出てくるでしょう。そうすれば、苦手なものでもそのスキルを伸ばすことができるのです。
日本話し方センターのベーシックコースでは、ベテラン講師が受講生のスピーチを聞いて、できていることや、さらによくなるためのポイントを具体的にお伝えしています。
その効果は多くの受講生が実感されています。
ぜひ「受講生の声」をご覧ください!