「人は話し方が9割」という書籍がベストセラーになるほど、私たちは自分の話し方に強い関心を抱いています。

確かに、相手を惹きつける魅力的な話し方は重要です。

しかし、良好な人間関係を築く上で、私がもっと重要だと考えているのは「聴き方」なのです。

もちろん、分かりやすく面白い話をする人には好感を抱きます。

しかし、自分の話を真剣に、そして興味を持って聴いてくれる人に対しては、それ以上の特別な感情を抱くのではないでしょうか。

つまり、人間関係を円滑にするためには、話し方以上に「聴き方」を意識する必要があるのです。

「人は話し方が9割」の著者も、「人は聞き方が9割」という書籍を出版しています。

私にはこちらの方がより深く共感できる内容でした。

本記事では、会議の司会進行を例に、「聴き方」の重要性とその具体的な方法を解説します。

会議だけでなく、日々のコミュニケーションにも応用できる普遍的なスキルを身につけ、より豊かな人間関係を築きましょう。

 

1.なぜ会議で「聴く」ことが重要なのか?議論をコントロールする鍵

会議を効率的かつ効果的に進める上で最も重要なことは何でしょうか?それは、まさに「話を聴くこと」です。会議では、参加者が積極的に意見を述べることが重要です。質の高い意見こそが、会議の成果を左右すると言っても過言ではありません。

しかし、意見が飛び交う中で、会議の目的を見失わずに議論を正しい方向に導くためには、進行役であるファシリテーターの存在が不可欠です。ファシリテーターにとって最も大切なことは、参加者の言葉を注意深く聴き、その発言の真意を理解することなのです。

 

2.言葉の奥に隠された真意を捉える:具体的な事例で解説

具体的な例を挙げて説明しましょう。

ある会議で、社内研修の企画について議論が行われています。

Aさん:「今度の社内研修は、ホテルに宿泊して2日間、集中的にやりましょうよ」

Bさん:「う~ん、どうかなぁ…私は会社の会議室で1日みっちりやれば十分だと思うけどなぁ」

 

AさんとBさんの意見が対立しました。

もしあなたがファシリテーター(司会進行役)なら、この後どのように発言しますか?

「たまにはホテルでやるのも気分転換になって良いですよね」

「コストを考えると、会議室で実施する方が現実的かもしれませんね」

このように、どちらかの意見を支持するような発言は、議論を深めるどころか、対立を煽る可能性があります。

ファシリテーターの役割は、議論を効果的に進め、合意形成を促すことです。

そのためには、発言の表面的な意味だけでなく、その奥にある真意を捉え、議論をより深いレベルに引き上げる必要があります。

 

例えば、Aさんの「ホテルで2日間」という意見を聴いたとき、ファシリテーターは

「Aさんは、日常から離れた環境で、集中して研修に取り組むことが重要だと考えているのだろうか?
背景には、どのような問題意識があるのだろうか?」

と推測します。

一方、Bさんの「会社の会議室で1日みっちりと」という意見を聴いたときは、

「Bさんは、研修に時間をかける必要はないと考えているのだろうか?
それは、研修の目的や内容に対する認識の違いから来ているのかもしれない」

と推測します。

このように、発言の背後にある意図を推測した結果、ファシリテーターは次のように発言することができます。

「お二人の意見は分かれていますね。
そもそも、今回の研修で何を学び、どのような問題を解決したいのか、という目的を改めて整理する必要がありそうですね」

この発言によって、議論の焦点が「場所や期間」といった表面的な要素から、「研修の目的」という本質的な要素へとシフトします。

その結果、より建設的で密度の濃い議論が展開されることが期待できます。

目次

3.常に「なぜ?」を問いかける:本質を見抜く思考法

私たちは、ともすれば「何のために」という目的を考えずに、いきなり「何をするか」という手段を考えてしまいがちです。

上記の例で言えば、AさんもBさんも、研修で「何のために何を学ぶのか」という根本的な目的を意識せずに、「ホテルで2日間」や「会議室で1日」といった具体的な方法を提案しています。

しかし、物事を判断するためには、「何のために」という根拠が不可欠です。

根拠のないまま「何をするか」という手段ばかりを議論していると、感情的な対立を生み、議論が収拾つかなくなる可能性もあります。

ファシリテーターは、そのような事態を防ぐために、常に議論の焦点を明確にし、参加者が本質的な議論に集中できるように導く必要があります。

そのためには、参加者の言葉の奥にある真意を理解し、「なぜそのように考えるのか?」という問いを常に持ち続けることが重要なのです。

 

4.日常会話にも応用できる!人間関係を劇的に改善する「聴き方」

会議におけるファシリテーターの意識の持ち方を例に、「聴き方」の重要性を説明してきました。

しかし、この「聴き方」は、会議だけでなく、日々のあらゆるコミュニケーションに応用することができます。

人は、自分の気持ちや考えをストレートに表現することは稀です。

言葉の裏には、様々な感情や意図が隠されていることが少なくありません。

したがって、相手の話を聴く際には、

「なぜ相手はそう言ったのだろうか?」

「その発言の背景には、どのような感情や経験があるのだろうか?」

と、常に発言の裏にある「なぜ?」を考えるように心がけましょう。

そのような「聴き方」を習慣にすることで、相手の気持ちを深く理解し、共感することができます。

その結果、今まで以上に良好な人間関係を築くことができるでしょう。

5.コミュニケーションスキルを磨き、人生を豊かにしませんか?

日本話し方センターのベーシックコースでは、人前で堂々と話せるようになるためのトレーニングだけでなく、良好な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルも幅広く学ぶことができます。

私たちのコミュニケーションの根底にあるのは、「相手ありき」という考え方です。

相手が何を考え、何を言いたいのか、ということに常に意識を向け、相手の立場に立ってコミュニケーションを取ることが重要です。

ベーシックコースでは、相手の気持ちを理解し、共感するための話し方や聴き方を学び、実践的なトレーニングを通して、そのスキルを身につけていただきます。

コミュニケーションスキルは、仕事だけでなく、プライベートにおいてもあなたの人生を豊かにする強力な武器となります。

ぜひ、日本話し方センターのベーシックコースで、コミュニケーションスキルを磨き、より充実した人生を手に入れてください。