先日、Cさんという経営者のお悩みを聞く機会がありました。
Cさんは美容関連の会社を立ち上げて約10年で支店を幾つか出すまで大きくされました。しかしここに来て、同業の会社の売却や経営者の交代のお手伝いをすることが多くなってきたので、新たに企業買収や事業承継などを手がける事業を立ち上げようとされています。そのためには今の事業の大部分を幹部社員に任せたいけどなかなか思うようにならないということでした。具体的には会議などで社員に意見を求めても発言がなくて結局Cさんが決めてしまうそうなのです。

私「なるほど。では会議ではどういう風に意見を求めていますか?」
Cさん「『ネット広告の量を増やそうと思うけど、どう思う?』という感じで意見を聞いています」
私「会議で社員の皆さんが発言することはあるんですか?」
Cさん「いや、ほとんど意見を言わないので私ばかりしゃべってますね」
私「確かにその聞き方だと意見は言いにくいですね」
社員に意見を言ってもらうためにCさんがすべきことはいくつかあります。
1つ目は、Cさんが社員に何を聞きたいのかを事前に知らせておく、ということです。経営者や上司が、社員や部下に意見を聞く時、突然「どう思う?」と聞くことがよくあります。そうした場合、社員は「いや、どう、と聞かれても・・・」という反応になることが多いはずです。それは経営者や上司はそのテーマについてずっと考えているのですが、社員は聞かれた時に初めて考えるからです。答える準備ができていないので戸惑ってしまうのは当然と言えるでしょう。従って、事前に「こういうテーマについて意見が聞きたいから考えておいて」と伝えておけば意見は出やすくなるでしょう。できれば考える上で必要な情報も事前に共有しておけば社員は更に考えやすくなるでしょう。
2つ目は、何が聞きたいのか具体的に質問する、ということです。「ネット広告の量を増やそうと思うけど、どう思う?」という問い掛けは漠然としていて抽象的です。人は話をする時、具体的に頭の中にイメージができると話がしやすくなりますが、この聞き方では頭にイメージが描けないのです。例えば、「ネット広告をもっと積極的に使いたい。ターゲットは来店数が少ない40歳代女性に絞ろうと思うけどどうだろう?」と聞けば、社員も少しイメージしやすくなり意見が言いやすくなるでしょう。「40歳代の女性」ということばを聞くと、頭の中にどういう感じの人かイメージすることができます。なので、社員は「いいと思います」「いや、私はむしろ20歳代の女性にもっとアピールすべきだと思います」など、意見が言いやすくなるでしょう。
さらに、そうした発言があれば次に「なぜそう思うの?」と重ねて問いかけてみましょう。そうすると
「私も40歳代の方の来店が少ないので、もっと増やせるはずだと思ってました」
「我々の店の雰囲気は20歳代向けなので、その年代のお客様を増やすべきだと思います」
などと話しが広がっていくでしょう。
ところで私は、これからのマネジメントスタイルは質問型で進めていくことが主流になると思っています。質問をすることで社員や部下は自ら考えるようになり、そのテーマについて当事者意識が芽生えるようになるからです。しかし、やみくもにするのではなく工夫をしながら質問しないと上のような効果は表れません。ぜひ聞かれた人が答えやすい質問を工夫してみてください。