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★『話すことは考えること』

日本話し方センターの受講生は、主に次のような解決したい課題を持っています。
・あがり症を治して人前で堂々と話せるようになりたい
・相手に理解してもらえる話ができるようになりたい
・雑談などで会話が続けられるようになりたい
こうしたことを改善したいと考えている人は『上手に話すテクニック』を身につけたいと思っている人が多いように見受けられます。しかし、そのためにはテクニック以上に大切なことがあります。
それは「考える」ということです。
日本話し方センターには『話すことは考えること』という考え方があります。自分が話す内容に納得感があればあるほど、より自信を持って話すことができます。そのために、話す内容を事前にしっかりと考える必要があるのです。

★話を考えるプロセス

話すという行為には大まかに次のプロセスがあります。
①見たことや聞いたことに何かを感じたり、それについて考えたりする
②その感じたこと、考えたことをもとに何をテーマに話すか決める
③決めたことを話す
④話したことに対する相手の反応を見る

このプロセスでは①②がとても大切です。何を感じたか、考えたか。それについて何を『言いたいこと』とするか。これらは何れも『考えること』です。だから『話すことは考えること』なのです。先に述べた『上手に話すテクニック』はこのプロセスの③に属することです。これは①②で考えたことをどう表現するかというプロセスですので、いくら③で上手に話すテクニックを身につけても、①②でしっかり考えなければ聞き手に伝わる話にならないのです。

また、①②で自分が心から納得できる考え方ができれば、話す際にあがったり言葉に詰まったりといったことが少なくなります。自分で納得できることは多かれ少なかれ積極的に「話したい」という気持ちになるからです。あがり症を克服するためにも話す前にしっかりと考えることが大切なのです。

★2日間集中コース受講生のMさんの例

ところで、先日の2日間集中コースでこんなことがありました。受講生のMさんはスピーチ実習で次のようなスピーチ原稿を考えました。
・D社に新規営業の電話をかけ続けている
・D社の担当のSさんはいつも面倒くさそうな対応で面談のアポイントがなかなか取れない
・ある日D社に電話をかけたところ、取り次ぎの人が保留にしなかった
・「Sさん、Mさんから電話ですよ」「おお!Mさんからか。出るよ!」
・私(Mさん)はSさんに煙たがられていると思っていた
・しかし何度も電話をして話しているうちにSさんが私に親しみを感じてくれていることがこの会話で分かった
・思い切っていつもより大胆に面談をお願いしたらアポイントが取れた

私はMさんにこのスピーチで何が言いたいか確認しました。Mさんは『アポイントメントが取れて良かった』ということを言いたいということでした。私は「なるほど。でも、もう少し深く考えると、この話から言いたいことが他にも幾つか出てくると思いますよ」と告げて次のような例を示しました。
・継続は成功につながる
・人は自分が思うほど人を拒否しない
・時には少し厚かましくなろう
・相手の真意を読み取る努力をしよう
私の話を聞いたMさんはすぐに「ああ、そうです!私はこの時、継続することが大事だな、と思ったんです」と言って『継続は成功につながる』という話にすることに決められました。そしてその主張に沿って原稿を見直し、とても聞き応えのあるスピーチをされました。

Mさんは原稿を作った当初は「こんなスピーチでいいのかな」と自信なさげでした。つまりスピーチ原稿を考えたけどMさんの納得感は今一つだったのです。そういう気持ちのままスピーチをしても自信を持って話すことはできません。「つまらない話と思われているのではないか」という恐れにつながり緊張が高まってあがってしまうのです。しかし、自分で「これだ!」と納得できる主張を軸に話をすれば気持ちが前向きになって迫力のある話し方になります。その分あがり症は抑えることができます。

テクニックを身につけることも必要ですが、その前に気持ちの持ち方が話す上ではとても大切です。そしてそのためには話す前にきちんと考えることがとても重要なのです。

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