目次

1.話し方教室受講生Kさんの悩み

先日、私たちの話し方教室を受講しているKさんから、次のような質問がありました。

「私は管理職として、部下から相談されることがたびたびあります。

相談されると、できるだけ丁寧に答えるようにしています。

しかし、部下は私の話に納得していないと感じることがよくあるのです。

そのため、言い方を変えて同じ説明を繰り返すので、話がダラダラと長くなります。

このままでは、上司としての信頼も得られなくなります。

彼らの相談に的確に答えるには、どうしたらよいでしょうか?」

Kさんだけでなく、相談された時に上手く答えられなかった、という経験は誰にでもあると思います。

話がうまく伝わっていないと感じると、

「これで伝わったかな?」

「こういう説明の仕方もした方がよいかも」

などと考えながら、あれもこれも話してしまいます。

その結果、話が長くなってしまうということも、よくあることです。

では、相談に的確に答えるためには、どうすればよいのでしょうか。

2.相手の話をきちんと聞く

相談された際、私は主に2つのことを意識して答えています。

1つ目は、相手の話をきちんと聞くことです。

そして、そのために、いきなり答えずに質問することです。

私は人から相談されると、まず質問をします。

「それはいつ?」

「相手はどういう人?」

などの具体的な情報から始めて、

「それはなぜそう思うの?」

「もしこんな状況だったらどう判断する?」

「あなたは相手がどう思っていると思うの?」

など、相手が何について、どういうことを知りたいのかがわかるまで聞いていきます。

こうした質問をする目的は2つあります。

 

① 相談の意図を的確に掴むため

1つは、相談の意図を的確に掴むためです。

相談する人がいつも自分の悩んでいること、解決したいことを適切に話しているとは限りません。

重要な事実が抜けていたり、客観的な事実と自分の主観的な意見が混在した話をしたりすることがあります。

また、本当に確認したいことが自分でも曖昧なまま相談する人もいます。

こうしたことを確認しないと、相談される方は、相手の真意を捉えないまま答えてしまうことになります。

なので、何を相談したいのかを適切に把握するために、まず質問をして認識に齟齬がないようにしています。

② 自ら気付いてもらうため

質問する目的のもう1つは、相談している人に自ら解決してもらうためです。

相談を受ける場合によくあることは、相談する人が判断に必要な要素を検討せずに悩んでいることです。

これしかない、と思い込んでしまっているものの、少し俯瞰的に考えると別の方法もある、ということはよくあることです。

従って、本人が見逃しているところに気付いてもらうために質問をします。

そうすると、こちらが意見を言わなくても、相談してきた人が自分で納得する結論にたどり着くことも、少なくありません。

これは人財教育の上でも大切なことです。

相談をされたことに答えるだけでは、相談してきた人はいつまで経っても成長しないでしょう。

自ら考えてもらうことで、レベルアップが期待できるのです。

 

3.伝えたいことを短い言葉で表す

私が相談を受けた際に意識していることの2つ目は、伝えたいことを短い言葉でまとめることです。

例えば、

「今度の役員会資料、これでいいでしょうか」

と相談されたなら、

「論点を具体的にすべき」

という言葉を頭に浮かべながら、

「この資料で何をしたいのかを明確にした方がいいよ。

残業の実態だけを書いているけど、これを踏まえて議論して欲しいことを具体的にすれば、生産的な会議に出来ると思うよ。

残業を減らす策を検討したいのか、残業実態をより的確に把握する策を検討したいのか、など」

とアドバイスします。

相談に限らず、話す際には自分の伝えたいことをクリアにすることはとても大切です。

ぜひ意識してください。

4.Kさんのその後

さて、上記のことをKさんに伝えたところ、早速職場で質問することを実践したそうです。

その結果、相手が納得する答え方ができるようになったとのことでした。

Kさんは、

「今まで相手の話をよく聞かずに、思い込みや早とちりで回答していたことに気付きました」

と仰っていました。

 

ところで、私が相談を受ける際に、もう一つ気を付けていることがあります。

それは、相手の悩んでいるという事実や話していることを肯定的に受けとめることに気をつけています。

そうすることで、相手は安心して話をしたり私の話を聞いたりすることができます。

そして、またこの人に相談しよう、と思ってもらえると思っています。

このこともKさんに伝えたところ、

「それは話し方教室の先生方も、スピーチの講評の際に実行されていることですね。私もやってみます!」

と言ってくださいました。

Kさんは、相談対応以外にも、話し方教室での学びを職場で実践されています。

私は、Kさんが今まで以上に、周りから信頼される素晴らしいリーダーになられると確信しています。

 

5.コミュニケーションの取り方を学びましょう!

日本話し方センターのベーシックコースでは、話の仕方だけでなく人と良好なコミュニケーションを取る方法についても具体的にお伝えし、実習でトレーニングをしていただいています。

その効果は多くの受講生が実感されています。

ぜひご受講ください!