私は大学を卒業以来、銀行とコンサルティング会社、日本話し方センターで40年弱、働いてきました。
その経験を通して、社会人として評価される重要な要素だと思っているものに「リーダーシップ」があります。

但し、ここでいうリーダーシップは、私たちが通常使っているのとは少し意味合いが異なります。
通常、リーダーシップというと、チームに一人リーダーがいて、その人がチームを統率する際に発揮する能力のことを言います。
しかし、一方で、リーダーシップは、そのチームに所属する人全員が発揮すべきもの、という考え方があります。
それは、伊賀泰代さんの「採用基準」という本に書かれています。
そのチームが何をなすべきかを全メンバーが共有し、それぞれの役割を分担して遂行します。
そして、それぞれのメンバーがチーム全体のことを考えて仕事のやり方を提案したり議論したりします。
何か対応すべきことが発生しても「それは私の仕事ではない」とは考えず、「その事態に対して私は何ができるか」を考えます。
チーム全員がこの意味でのリーダーシップを発揮すれば、非常に高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
私は、冒頭で書いた「リーダーシップ」はこの意味で使いました。
この「リーダーシップ」は「当事者意識」という言葉に置き換えることができますので、これからはこちらを使うことにします。
この「当事者意識」は、話をする上でも非常に重要です。
上司だけでなく、あなたに関係する人が、あなたをどういう人と見るかに大きく関わってくるからです。
例えば、上司から仕事を頼まれた場合、
「いや、私は他に明日が期限の仕事が3つあるので、その仕事をするのは難しいです。」
という話し方は、自分の仕事しか意識していないことが感じられて、自分勝手だな、という印象を与えてしまいます。
この話し方に当事者意識は感じられません。
しかし、
「他のメンバーは手一杯なので、私が引き受けた方がいいですね。
でも、私も他に明日期限の仕事が3つありますので、今のままでは難しいです。
他の仕事の期限を調整してもらうことはできますか?」
と言えば、当事者意識が感じられ、上司も他の仕事を調整しようという気になるでしょう。
全員がチームの全体の最適な分担を考えている雰囲気になります。
こうした話し方は相手に信頼感を与えますので、人間関係もよくなります。
難しいなぁ、と思っても、できない理由を言うのではなく、どうすればそれができるかを話すことが重要です。
但し、当事者意識を持って話す、と言っても、すべてのことについて「私がやります」ということではありません。
どうすればその問題が解決するか、ということを考え、具体的な実行方法を話すことで当事者意識は伝わります。
その際、「こうすればいいんじゃない?」というと何となく評論家的に受け取られてしまいます。
「こうしましょう。どうですか?」というように、一緒にやりましょう、という表現で話すと、相手の受け取り方も格段に良いものになるでしょう。