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★人に動いてもらう話が上手く伝わらない

人が話をする場合、必ずその話をする『目的』があります。
「上司に事実を正確に理解してもらいたい」
「夫に自分の話に共感してもらいたい」
「出席者に自分の意見に納得して賛成してもらいたい」
「初対面の人に自分の名前を覚えてもらい、良い印象を持ってもらいたい」

こうした『話の目的』の一つに
「自分の言ったとおりに動いてもらいたい」
ということがあります。特にビジネスの世界では部下や関係者に自分の言ったとおりに確実に動いてもらえるように話すことはとても大切なことです。しかし、私たちは人に動いてもらうための話が上手く伝わらず、相手が思うように動いてくれない、ということがよくあります。どうしてこういうことが起こるのでしょうか。

★「わかるだろう」という思い込みは危険

人間の行動とは極めて具体的なものです。例えば、課長が課のメンバーに対して、「何でも相談して欲しい」と言ってもメンバーはその通りには行動しないでしょう。レベルの低い相談をしたら恥ずかしいと思ってしまい、相談することをためらってしまうからです。一方、「自分だけで5分黙って考えて解決しないことはすぐに相談して欲しい」と具体的に言えば、メンバーはどういうことをいつ相談すればいいかわかるので、安心して課長に相談するでしょう。
しかし、私たちは普段、この「何でも相談して欲しい」レベルの抽象度の高い話し方をしていることがとても多いのです。それは、言った人は「何でも相談して欲しい」と言えば、「何でも」と言っているのだから気軽に相談できるだろう、と思っていまうからです。しかし、これは単なる思い込みに過ぎません。言われた方は、上に述べたようにレベルの低い相談はできない、と思ってしまうので気軽には相談できないのです。このような、『言った人の思い込み』は職場のあらゆる所で見られる現象です。

 

★「動詞表現」と「動作表現」

ところで、この『人に動いてもらう話し方』ことについて、興味深いことが書いてある本があります。浅田すぐるさんというコンサルタントの著書で「すべての知識を『20字』でまとめる」という本がそれです。とても参考になることが書かれている本で、私は折りに触れて繰り返し読んでいます。
その中に、人に行動してもらいたいなら『動詞表現』ではなく『動作表現』を使うということが書かれています。

『動詞表現』とは、上の例の「何でも相談して欲しい」が該当しますし、「今期の目標を意識しよう」「整理整頓を励行しよう」というのも『動詞表現』です。一般的によく使う表現ですが、この表現では何をどのようにすればいいのかわかりません。なので、実際の行動にはなかなか移せません。
これに対して『動作表現』というのは、聞いた人が行動に移せるレベルの表現です。上の例の「自分だけで5分黙って考えて解決しないことはすぐに相談して欲しい」は動作表現です。また、以下に、先の『動詞表現』を『動作表現』にしたものを示します。
「今期の目標を意識しよう」→「朝出勤したら今期の目標を書いた紙を声に出して読もう」
「整理整頓を励行しよう」→「帰宅する際は机の上に何も残さないようにしよう」

人に行動を促す際には、ぜひ『動作表現』で具体的に伝えることを意識してください。

 

★日本話し方センターは「動作表現」でご指導しています!

ところで、日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、講師は『動作表現』で受講生の方々にアドバイスをしています。「家でスピーチ練習をしてください」ではなく、「家で声に出して、30回以上、時間を計ってスピーチ練習をしてください」と具体的な動作レベルで伝えています。また、「もう少し高い声で話した方が、声の通りがよくなりますよ」ではなく、「地声が『ド』の音だとすると、『ソ』か『ラ』の高さで話してください」とアドバイスしています。こうしたことも70年続いている日本話し方センターの強みです。その効果は多くの受講生が実感されています。ぜひ「受講者の声」をご確認ください!