目次
1.抽象的な話はわかりにくい
- わかりやすい話がしたい
- 説得力のある話がしたい
- 共感してもらえる話がしたい
こんなことを思っている方は多いはずです。
しかし、そうした方は、なぜ自分が思うような話ができないのか、ということについては理解されていないようです。
どうすれば、わかりやすくて説得力があり、共感してもらえるような話し方ができるのでしょうか。
その一つのポイントが『具体的に話す』ことです。
私たちは普段、具体的な話をしているつもりで、実は、かなり抽象的な話をしてしまっています。

2.具体的な話とは?
では、具体的な話と抽象的は話は、どういう違いがあるのでしょうか。
日本話し方センターでは、具体的な話とは、聞いている人の頭の中にイメージが浮かぶ話だ、と伝えています。
逆に、聞いている人が話の内容をイメージできないなら、抽象的な話になっている、ということです。
例えば、会議などで意見が出ないことがあります。
そうした場合の原因は、議論の論点が抽象的で、どういう意見を言えばいいか参加者がイメージできないからです。
「我が社は今期、人事制度改革に取り組むことになりました。どういう策が考えられるか、ご意見ください」
と言われても、どんな意見を言えばいいか、イメージできない人が多いでしょう。
これは、論点が抽象的なので、意見のイメージが湧かないからです。
この論点を少し具体的にしてみましょう。
「我が社は今期、人事制度改革に取り組むことになりました。
目的は、社員が働きやすい環境を整えながら生産性を上げることです。
まず、社員が今よりも働きやすい環境を整えることから考えたいと思います。
そのために、現在、皆さんが働いていて、この点を改善して欲しい、ということをあげてください」
どうでしょうか。
これなら意見は言いやすいはずです。
このように、具体的に話すことで、話は格段にわかりやすくなるのです。

3.話に具体例を入れる
ところで、話を具体的にするために、とても重要なことがあります。
それは話に具体例を入れることです。
例えば、あなたが朝礼で次の様な注意喚起をしたとします。
「最近、夜間の自転車での事故が増えています。
皆さんも暗くなってから自転車に乗ることがあると思いますが、夜間は周りもよく見えないので事故が起こりがちです。
十分に注意するようにしてください」
言っていることは分かりますが、抽象的で聞いている人の記憶には残らない話し方です。
この話に具体例を入れると、次の様になります。
「最近、夜間の自転車での事故が増えています。少し前にこんなニュースがありました。
3年前のある日、横浜で女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で自転車で帰宅していたところ、前方を歩行中の看護師の女性と衝突しました。
看護師は重症を負い、今でも手足がしびれて歩行が困難な状況だそうです。
看護師の女性は、女子高校生に賠償を求めて裁判を起こしました。
そして、横浜地裁は、女子高校生に5000万円を支払うよう命じる判決を下したそうです。
自転車と言えども交通ルールを守らないと大変なことになってしまいます。
皆さんも十分に気を付けてください」

このように話せば、聞いている人にも当事者意識が芽生えて、「自分も気を付けよう」と思えることでしょう。
このように、具体例には聞いている人の頭の中にイメージを湧かせる強力な力があります。
それ故に、わかりやすくて説得力のあるはなしになるのです。
4.私たちは具体例から気付きを得ている
しかし、私たちはこの具体例を省いて話すことが驚くほど多いのが現実です。
実は、私たちは多くの場合、具体的な事実から気付きを得ています。
- もっと社員同士のコミュニケーションを良くしないといけないな
- 紙の資料を削減しないといけないな
- 会議室にモニターを設置した方がいいな
これらは全て、具体的に見聞きしたことがきっかけで思ったことです。
しかし、こうしたことを人に話す場合、
「この頃紙の資料が多いのが気になっているんだよ。何とか減らさないとね」
など、具体的に見聞きしたことを省いて話してしまいます。
「この間倉庫を見たら、資料を保管するスペースが一杯で余裕がないんだ。
そこに新たな資料を運んできた人がいて、仕方ないので床に置いて出て行ったんだよ。
このままじゃ、すぐに床にも置けない状況になってしまう。
だからといって新たな倉庫を作るのでは根本的な解決にはならないよね。
紙の資料を減らすことを考えないといけないと思うんだ」
このように話せば、聞いている人も共感してくれることでしょう。
そして、一緒に考えてくれるのではないでしょうか。
あなたも、ぜひ話す際は具体例を入れることを意識してください。

5.具体的な話し方を学びましょう!
日本話し方センターの話し方教室では、今回ご紹介したような、具体的にわかりやすく話すポイントを伝え、それが身につくトレーニングを繰り返し行っています。
その結果、「話がわかりやすくなったね」と言われる人が大勢います。