最近、仕事で回ってくる資料などを見ていて、すごく気になっていることがあります。
それは、とにかく体験止めが多いことです。
今日、ある文書をチェックしていてこんな表がありました。

コスト削減の手順を示した図です。
これを見ると、コスト削減のプロセスにどんな作業項目があるのかは何となくわかりますが、抽象的なので読み飛ばしてしまいそうな書き方です。
そこで、私はこれを次のように書き換えました。

先ほどのものより、何をやるか、ということが少し具体的になってきたのではないでしょうか。
この例のように、私たちは話したり書いたりする際に「体言止め」にすることが実に多いのです。
また、何をするか、どんな状態か、ということを表さなければならない場面で、テーマやお題目のような表現にすることもよくあります。
上の図は、具体的に行動すべきことを時系列に示しています。
しかし、修正前のものはそれが体言止めになっていて、テーマやお題目を表すものになっているので、具体的な行動がイメージし難い表現になっています。
修正後のものは述語まで記述することで、行動する、というイメージがより持てる書き方になっています。
この「体言止め」の問題は、話をする場合でも同様のことが言えます。
日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナーでは、話し方のトレーニングとして2分間のスピーチを採用しています。
スピーチを始める前に、これからどういう話をするのか、その方向性をまず言ってもらいます。
これは「主題」といって、話をわかりやすくする上でとても大切な役割を果たすものです。
①-1「相手の気持ちに寄り添おう、という話をします」
②-1「娘の一言に救われた、という話をします」
主題の目的は、どんな話をするのか、ということを大まかに言うことで、聞き手にイメージを持ってもらうことです。
いわば、聞き手の頭の中に箱を作る役割を果たします。
しかし、この主題を次のように言う人がいます。
①-2「話す時のポイントについて話します」
②-2「娘との会話、という話をします」
①は、話をするときは相手の気持ちを汲み取り、その気持ちに寄り添うように話を進めるのがポイントだ、ということが話の趣旨だとします。
この場合、主題を①-2のように「話すときのポイント」と体言止めにしてしまうと、抽象的すぎて聞き手はどんな話なのか理解できません。
①-1のように「相手の気持ちに寄り添おう」と言えば、聞き手は言いたいことが具体的にイメージできるのでスッと理解できます。
②の例でも同じことが言えます。
②-2の様だと、「娘との会話」が何なのか、モヤモヤ感が残ります。
②-1なら、娘さんの一言に救われたんだな、どういう時にどういう一言があったのかな、と聞き手はその後の話に興味を持つことができます。
ここまで、書く場合と話す場合の双方の例を示しました。
どの場合でも体言止めにする、お題目のようなものだけを示す、というのはコミュニケーションを妨げる可能性があります。
しっかりと述語まで書いたり、話したりすることで相手の理解が容易になり、コミュニケーションの効率性、効果性が高まります。
ぜひ意識してみてください。
日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナーでは、上記以外にも具体的にわかりやすく話す秘訣をお伝えし、受講される方に応じたご指導をしています。
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