日本話し方センターのベーシックコースの2回目は、受講生に全員の前で自己紹介をしてもらいます。あがり症を克服したいと思って参加している人がほとんどですので、この自己紹介では皆さん、緊張しながら体を震わせながら話をしています。

受講生のCさんもそうした中のひとりで、1分30秒の持ち時間の自己紹介で2分20秒も話をしました。話をしている様子も明らかに緊張していますし、同じことを何度か繰り返して話すので時間オーバーとなってしまいました。自己紹介の実習が終わって休憩時間にCさんに声をかけてみました。
私:「いや~、緊張してましたね~」
Cさん:「そうなんです。私、3人の前でも緊張しますが今日は15人くらいいるのでもっと緊張しました。会社の朝礼で80人位を前にして話す時の緊張はもっともっとすごいんです」
私:「私も2人の前であがったことがあるので気持ちはよくわかりますよ~」

確かに、人数が多いほど緊張するという人はとても多いですよね。しかし、ベーシックコースを受講して数人の前であがりを押さえて話すことができるようになれば、100人以上の前でもあがりを抑えて話せるようになります。人数は関係なくなるのです。
そのためのポイントは次の2点です。

1点目は「アイコンタクトをしっかりと取る」ということです。
アイコンタクトとは聞き手に目線を合わせることです。スピーチにおいては聞き手の顔を1人ずつ見ながら話すことを指します。聞き手の中の1人の顔を見ながらワンフレーズ話をします。その後、別の人の顔に目線を移してワンフレーズ話をします。これを繰り返し行うのです。

こうすると、話し手は大勢を相手に話しているのではなく目線を合わせている人に話をしているという感覚が持てます。大勢の目が気になりませんし、目線を合わせている人ひとりだけに語りかけるように話すことができるので演説口調になりません。この効果でより伝わる話し方ができます。また、聞き手も顔を見て話してくれるので「自分に話をしてくれている」という感覚になり笑顔で聞いてくれたり頷いてくれたりします。話し手はその好意的な表情や態度を見て、さらに安心して話すことができるのです。

人数に関係なく話せるようになるポイントの2点目は「自分が納得できて『これを話したい』と思えるネタを選ぶ」ことです。
ある程度人前であがりを抑えて話ができるようになると、緊張する要素は人数よりも自信を持って話せるかどうかになってきます。そのためには話のネタ選びはとても重要です。私自身、人前で話す時、用意した話の内容が「今一つだなぁ」と思っていると話す前にかなり緊張してしまいます。逆に、話に納得できて「ぜひ聞いてもらいたい!」と思えると話す前も話している時も緊張はしません。用意した話のネタとその話しで何が言いたいのかをしっかりと考えることがあがりを抑えることにつながります。

上に述べた受講生のCさんにこの2点を伝えたところ、パッと顔が明るくなり「なるほど!がんばります!」と言ってもらえました。今後のCさんの奮闘に大いに期待したいと思っています。

 

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