このブログで何度かご紹介しているように、日本話し方センターの各コースを受講されている人の大半は、あがり症の克服を目的としています。この各コースでは2分間のスピーチを繰り返し練習するというトレーニングを行っています。コースの最初の方で行うスピーチ実習では、ほとんどの人があがっているのがわかります。その上、話の内容が散漫で何が言いたいのかわからない状態です。しかし、最後に行う成果発表スピーチでは皆さん別人のように堂々とわかりやすい話をされます。私はその姿を見ていつもとても嬉しくなります。

ところで、話し方には人それぞれの特徴があります。従って、あがり症の克服にも人それぞれに改善すべき点や改善方法があります。例えば前回の2日間集中セミナーに参加されたAさんはあがると早口になるタイプでした。セミナー最初のスピーチをした時は矢継ぎ早に次々と早口で話すため、つっかえたり言い直したりすることが多く、落ち着きのない感じがしました。また、言葉足らずで話が具体的ではなく、聞いていてわかりやすい話とは言えませんでした。
講師がアドバイスしながら原稿をわかりやすくしていきますが、Aさんは慎重な性格でスピーチ原稿の手直しにとても時間がかかります。そこで講師は「Aさん、別室で声に出して練習しながら原稿を作ってください」とアドバイスしました。それが功を奏し、Aさんはそれから間もなくわかりやすいスピーチにまとめてきてくれました。書いてまとめるよりも話をしながらまとめる方が得意だ、という人は少なくありません。Aさんはまさにそういうタイプだったのです。一旦話すことがまとまると格段に自信がついたのでしょう、最終発表ではとてもわかりやすい話を堂々と話してくれました。
一方、Bさんはあがりが表に表れにくいタイプの人でした。最初のスピーチから話し方もゆっくりで聞き取りやすく余裕が感じられました。しかし、何度か声に出して練習しているのを聞いていても余り上手くなった感じがしません。Bさんに「話している時どんな感じがしますか?」と聞いてみると「1人で練習していてもあがっている感じがして自信が持てません。それに、なかなか原稿が覚えられないんです」とのこと。Bさんは表には表れないけど自身であがっていることを強く意識していたのです。それを受けて講師は「私にはあがっているようには見えませんでしたよ。自分ではあがっていると思っても人からはそう見えないということはよくあります。だから『あがってるけど大丈夫だ』と自分に言い聞かせてください」「原稿は全文を書くのではなく要点だけを書いてください。練習する度に話す言葉が変わるかも知れませんが気にしないでください。言いたいことが伝わればOKです」とアドバイスしました。
その後、Bさんは一つひとつの言葉にこだわらずに練習を続けたところ、徐々にスムーズに話せるようになりリラックスした表情を見せるようにもなりました。最後のスピーチでは低めのよく響くいい声で聴き手の心に響くスピーチをしてくれました。ご本人もあがっている感じはほとんどしなくなったとのことでした。
この例のように、あがり症がどのような形で表れるかは人それぞれ違います。従ってその改善方法も人によって異なります。日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナー、オンライン短期集中コースでは、参加された方それぞれに応じたアドバイス、ご指導をしています。あがり症にお悩みに方はぜひ参加をご検討ください!